初心セサイザー | Vitalで音作り編③ 無料ソフトシンセVitalで作る「シンセリード」

皆さんごきげんよう。IWOLIです。

初心セサイザーシリーズの第4弾となる今回は、

シンセリードSynth Lead)を作っていきます。

とにかく目立つド派手な音色で楽曲を引っ張るシンセリード!

エレクトリックな曲ならとても頻繁に用いられ楽曲を盛り上げます。

凄くかっこいい音ですが作り方は意外とシンプル

今回はそんなシンセリードの基本的な作り方に加え、

ちょっとアレンジして曲中で映えるサウンドにするためのヒントもお教えします!

それではいきましょう!

シンセリードの基本

まずは基本サウンドを作っていきましょう。

Vitalを立ち上げ、もはや恒例となったSaw波を選択します。

これまでは”Init”か”Basic Shapes”を選んできましたが、

VitalにはSaw波形を持つウェーブテーブルは他にもあります。

今回は敢えて”Classic Blend”を選んでみましょうか。

ウェーブテーブルの波形を送るスライダーで右クリックすると、

このようなメニューが開きます。

このEnter Valueを選べば、

このような感じで数値で入力できます。Saw波は「100」ですよ!

このままでは流石に味気ない上に倍音がちょっと耳に痛いので、

デチューンFILTERを使って加工します。

といっても、このままじゃただのフィルターに通したSuper Sawです。

リードは楽曲の中でも空間を切り裂く様なインパクトで目立ってもらわねばならない花形です。

Super Sawは確かに派手ではあるのですが、

デチューンされている、即ち「ピッチが若干ズレている」なので、

リードとしてメロディを奏でるにはちょっとボヤけてしまうんですね。

なので、デチューンをもう少し減らし、元の純粋なSaw波に近づけます。

今回は、デチューン幅(パーセントの部分)を減らすのに加え

左側のボイス数(1v~16vとかかれた部分)も減らすことで、

より芯のある音にしています。

結構それっぽくなりましたね!

この音色を基準に、更にリードらしくしていきますよ~!

モノフォニックこそがリードシンセ!

お次は今まで扱ってこなかった部分を操作します。

右下のこの部分です!

ここは「キーボード(またはMIDI)で複数の音を同時に発音させた時の挙動」を決めます。

今回は特に”VOICE”、”GLIDE”(グライド)を使って音を作ります。

LEGATO”も頻出パラメーターではありますが、

ここは後半の発展でお話しします!

VOICE数

まずはVOICE。

ここのVOICEはOSCにあった「デチューンする時の波形の数」ではなく、

鍵盤を押した時に鳴る音の数を示します。

実際に多くの音を鳴らしながらこれを減らしていってみましょう。

コードで同時に6つの音を鳴らした際に、

VOICEを減らすとその音数が減っていっているのが分かりますか?

ここのVOICEを1まで減らしていても、今はOSCが「8v」となっているため、

この時は正確には「1%でデチューンされた8つのSaw波が、1つのピッチを鳴らしている」

という状態です。

VOICEを増やすと、8つのSaw波がVOICE数の分だけたくさんのピッチを鳴らせるということですね。

このVOICE数が複数になっている状態を「ポリフォニック」と言い、

VOICE数が1の状態を「モノフォニック」と言います。

一般的にシンセリードではノフォニックを使うのが好ましいとされます。

理由は後程!

GLIDE

VOICEを1にしたらお次はGLIDEを設定します。

ここは「鍵盤を押しっぱなしの状態で、別の鍵盤を押した時に、

その音までを滑らかに繋ぐ速さ」を設定します。

…聴いた方が早いですね!

順を追って解説します。

まずモノフォニック状態のシンセは、

いずれかの鍵盤を押したまま、別の鍵盤を押す

鳴る音が後に押した音高に切り替わります。

そしてそのままどちらかを離すと、離さなかった方の音高が鳴ります。

そしてGLIDEは、このどれかを押したまま別を押した時に、

どれだけの時間をかけて移るかを決められるんです。

動画でも、GLIDEの数値を上げると音程が「ウイイィィィ↑↑」と段々と上がる様になり、

小さくすると瞬時に上がっていますね。

そしてこの機能は、モノフォニックでないといい感じに鳴ってくれません。

試しにVOICEを2以上で比較してみましょう。

VOICEを増やすと、先に鳴らしていた音と段々と上がる音が混ざってしまって、

変な感じになってしまいますね。

そのためシンセリードを作る際は、このVOICE・GLIDEは

両方ともほぼ必ず調整する必要がある事をお忘れなく!

基本的なシンセリード完成!

結構あっさりですが、これでリードシンセの基本はおおむね完了です!

実際に鳴らしてみましょう。

ウネウネした動きが耳を惹きますね!

このウネリの事を「ポルタメント」と言ったりします。

この動画にある様に、リードシンセはこのウネリが目立つことで楽曲を引っ張っていってくれるのですが、

この設定の場合は、鍵盤(MIDIノート)が押しっぱなしの状態で、

別の音を鳴らす必要があります。

ウネらせたい時はMIDIノートを伸ばしておくことを忘れずに!

もし押しっぱなしにするのが面倒なら、

LEGATOの二つ上にある”ALWAYS GLIDE”をチェックすることで、常にウネる様にできます。

ただしこの場合、ウネらせない鳴らし方が出来なくなる点に注意!

発展:より映えるリードに!

さて、これだけでも一応完成ではありますが、

更にちょっと一工夫加えてみましょう!

まずは定番のこれ!

ビブラートを付ける

ビブラートってご存じでしょうか?

ボーカルやバイオリンなどで音を伸ばす時に使われる

「ウ↓ワ↑ァ↓ァ↑~~」とピッチを上下させるテクニックです。

こちらをリードシンセに活かすことで、長い伸ばしでも単調になるのを防げます。

 

ではどうするか?

 

ビブラートは先ほど言った通り、伸ばしている間、周期的にピッチを上下させます。

周期的…?そう!LFOです!

LFOをピッチにアサインしてみましょう。

LFO 1を使い、OSC 1PITCHのうち、右側にアサインします。

PICTHセクションの左右にある「0」という表示。

左側は”Transpose”と言い、1半音ずつ上下します。

右側は”Tune”と言い、「1半音の100分の1」ずつ上下します。

Transposeでビブラートさせることもできますが、今回は微調整するために

右側のTuneを使いました。

さて、アサインはできましたが、このままでは揺れが遅すぎます。

スピードはLFOの”TEMPO”にある数値を上下にドラッグするだけ!

良い揺れ方になりましたね!

もちろん、TEMPO枠の右側にある音符マークから、

テンポではなく時間で指定したり、

アマウント量の円グラフを動かしてビブラートの幅を変えるのも良いですね!

さて、これでもまだ一つ問題があります。

このままでは、ピッチがずっと揺れっぱなしになり、

細かいメロディもフラフラと曖昧なものになってしまいます。

なので、「音の鳴り始めからちょっとの間、ビブラートを待つ」設定をしましょう。

これもVitalなら超簡単、「LFOのDELAY」を伸ばすだけ!

最初からいきなり揺れていたのを、揺れ始めを遅らせることが出来ました!

更に、「揺れ始めが急で違和感がある」という場合は

”SMOOTH”を増やしてみましょう。

これは「LFOが動きだした時、滑らかに揺れ始めさせる」ことが出来ます!

これに加えて、LFOで揺らす方向を上ではなく上下にする事もできます。

ただ、ちょっとややこしい設定が必要になってきますので今回は割愛します。

Bipolarにするだけじゃなく、中心を設定しなおさないといけないからね…

ちょっとだけアタック感を付ける

さて、これで完成でも良いのですが、一つ不都合があるかもしれません。

今のままでは、ずっと一定の音量になっているので、

同じ音高で連打しても、のっぺりして聴こえてしまいます。

ならどうすればいいか?簡単!SUSTAINを下げて音量を動かせいいんです。

DECAYSUSTAINを下げることで音量に変化が付き、

音の鳴り始めが強調されました!シンセベース編でも使ったテクですね。

LEGATOをオンにする恩恵

とはいえ、これではまた新たな問題が現れます。

アタック感を強調してしまったがために、

ポルタメントを使った時もアタック感が出過ぎてしまいます

そんな時に生きるのが”LEGATO”(レガート)です。

これは、ポルタメントを効かせた時(=どれかの鍵盤押しっぱなしで別のを鳴らす)に、

ENVなどのモジュレーターの動きを維持する、というもの。

実際に使ってみましょう!

どうでしょうか?LEGATOをオンにすると、

ENVのSUSTAINで下がった音量維持され、

LFOの揺れ鳴り続けましたね!

つまり、LEGATOがオフの時はENVやLFOが毎回再生され直していましたが、

LEGATOがオンの時はENVやLFOをそのまま維持できるようになります。

もちろん、ポルタメントさせなければENVなどは最初から再生され直すため、

これで幅広い状況で活用できますね!

まとめ

今回の音作りは以上です、お疲れ様でした!

今回は今までに使ってこなかったパートも利用して、

リードならではの目立つ音色を作ってみました。

GLIDEやレガートは少しややこしい所もありますが、

上手く活用すればモノフォニックな音ならリードだけでなく、

ベースでもイイカンジな音が生み出せます!

また今回はSaw波一本でしたが、

Vitalに備わっている様々な波形を使ったり、デチューンやフィルターの設定次第では、

更に色んなニュアンスを持つリードも作れます!

是非皆さんの手で色々試してみてくださいね!

それでは、オヤカマッサン|

次は何を作ろうか。