皆さんごきげんよう。IWOLIです。
ボカロ曲で学ぶ音楽理論シリーズ
今回は音楽理論の基礎、スケールのお話です。
みなさん、音楽理論を学んだ、または学ぼうとしたことはありますか?
好きな音楽に憧れて、学ぼうとしてみたは良いものの、
山ほどの専門用語が一斉掃射されて
となったこと、ありませんか?
基礎、初歩と言われても、「それでも訳が分からないんだよ!」ってなることもあるでしょう。
そこで今回は吉田夜世さんの”オーバーライド”のサビのメロディをお借りして解説していこうと思います。
この記事を読んで、音楽理論の最初の一歩、「スケールとは何か?」について理解していただければと思います。
それでは行きましょう!
オーバーライドのサビメロディ
まずは原曲の紹介、確認をば。
今回はこの楽曲のサビ(0:39~)のみに絞ってお話しします。
そしてボーカルのメロディラインのみコピーしたものがこちらです。
リズムが分かりやすいようにリズム隊で装飾しています
※ほとんど同じものを2回繰り返しているため前半部分のみ
こちらのピアノロールはこんな感じ。
このままだと分かりにくいので、使った音符を鍵盤上でまとめてみます。すると…?
やや右に偏っている
妙な偏りは置いといて…結構限定された音が使われていることが分かるでしょうか?
さらに、一番左と一番右の音はどちらも「シ」ですので、使われた音の種類は
ド♯・レ♯・ファ・ファ♯・ソ♯・ラ♯・シ
の7つとなります。
ともかく!使っていない鍵盤(=音)もたくさんあるということです。
この使う音の組み合わせのことを音楽理論においてスケールと呼びます。
スケールの性質
さてこの音の組み合わせ=スケールという概念。
もっと正確に言うと、1オクターブ内の音を基準の音から決まった間隔で選んだ音の組み合わせですね。
1オクターブとは特定の音(例:ド)と、そこから上下いずれかの同じ音(例:高いドまでの範囲です。
(高いドを含めたり含めなかったりするようですがその説明は割愛…)
この中には白鍵・黒鍵合わせて12音あります。
そしてこの中で決まった間隔で音を選ぶということ。
注意点の一つ目は等間隔ではないことです。
実際にオーバーライドのメロディも、一部は隣り合った音を使っているのが分かりますね。(以下丸印)
一方のそれ以外は一つ飛ばした先の音を使っており、隣り合った音の出番はありません。
こうした間隔の取り方によりスケールが決まります。
もう一つの注意点は基準から同じ間隔でさえあれば、同じ種類のスケールとして成立するということです。
こちらは聴いた方が分かりやすいと思います。こちらをお聞きください。
若干何かが違うけど普通にオーバーライドだと分かると思います。
ですがその音は実はこうなっています。
…こう見ると何も変わらなく見えますね。では鍵盤に置き換えます。
\デデン!/
なんとこの通り、全部白鍵で構成されています!
先ほどとまるで別の鍵盤を使っているのに、全然違和感がないでしょう?
これは同じ間隔の取り方を維持したまま、基準の音をずらしていったためです。
原曲では基準の音はファ♯だったのに対し、今回はこれをドに変えました。
ちなみにこのずらすことを移調と言います。
では逆にもし、音の間隔を変えた場合は…?
だいぶ冒涜的な事をしている気がしますが…お許しを吉田夜世さん…
はい、だいぶ気持ち悪いことになりました。
ですがこのメロディを見ると…
構成音は
原曲からの違いはレ♯・ファ・ラ♯がレ・ミ・ラになった(左隣の鍵盤に移動した)のみです。
先ほどの全部白鍵になったものより変化が小さく見えるのに、大きく変わって聴こえる理由、それが間隔の取り方が変わったからです。
次は、この間隔の取り方の一つ、メジャースケールを見ていきましょう。
メジャースケールとは?
さて、メジャースケールとはどんなものか。
例えば先ほど挙げたこの並び方、
こちらを少し並び替えます。
違いは、
- 左端をドにしたこと
- 同じ音の被り(ファ)を減らしたこと
の二つです。
そして、この音の間隔を、鍵盤1個飛ばしなら「長」、隣なら「半」とするとこうなります。
※一番右のシから右は、ドがあるとして半とします。
この並び方
長・長・半・長・長・長・半
という並び方の事を
メジャースケール
と呼びます!
男女男男女みたい
今回はドを基準としたメジャースケールということです。
さて、同じことを原キーオーバーライドでもやってみます。
まずはこれを、ファ♯から並び替えます。
ファ♯が増えてますが気にしないでください
そしてこの並びを左から数えると…
長・長・半・長・長・長・半 の並びですね!
※少し分かり辛いですが、ラ♯~シとファ~ファ♯は隣り合っていて、
シ~ド♯とレ♯~ファは一つ飛ばしです。
なのでファ♯を基準にしたメジャースケールということになります。
さて、ここで疑問に思った方もいるかもしれません。
「どこを基準に並び替えているの?」、と。
そう、そこが変わるとスケールも変わってしまうんです。
ですがそこまで話してしまうとややこしくなるので今回はここまで!
今回は
- 曲に使われる音はスケールに基づいて選ばれている
- スケールが同じなら曲の雰囲気もほぼ同じ
- 基準から長・長・半・長・長・長・半で並んだスケールをメジャースケールと呼ぶ
ということだけ覚えてください!
まとめ
いかがだったでしょうか?
音楽理論を学ぼうとすると、やはり理屈っぽく、汎用的な話になりがちな分、理解が難しくて途中で投げ出したくなることもあると思います。
そんな問題を、よく知った好きな曲を例にすれば、少しでもハードルが下がるかと思いこんな形で解説してみました。
その分遠回りした部分もあると思いますが、これを読んだ方の理解の助けになれば幸いです。
おまけ
「なんでこんなに黒鍵だらけの曲にしたの?」
と思われる方もいるかと思うので言い訳ちょっと補足します。
先ほど、使われる音がスケールに基づいて選ばれている、と話した直後ではありますが、
実際には使われる音全てが一つのスケール上にあるとは限りません。
メジャースケールを元にしていても、メジャースケールにはない音を使う事は、実は非常に多いです。
今回、対象にする曲を選ぶ際にも、かなりの数がそういった臨時の音を使っていたため、説明を簡易にするためにもそちらは省きました。
ちなみにこのオーバーライドさえ、サビの終わりには臨時の音が使われます。
サビの前半だけを使用したのはそういった理由でもありました。
もう一つは、スケールの音全てを使うとも限らないこと。
メジャースケールの7つのうち、6つや5つしか使わない曲もまた数多くあります。
極めつけに「スケールの音全ては使わず、臨時の音は使う曲」なんかもあります。
一見ハチャメチャに見えますが、これが良い曲になるんですよ…
ただ、やはりややこしくなってしまうため、今回の表題には
スケールの7つとも使う・臨時の音を(メロディがループするまで)使わない
という条件で絞り込んだところ、あまりにも候補が少なく、黒鍵の多いオーバーライドに決めた、ということでした。
探せばもっとあるのでしょうが…見つけられませんでしたすみません…
妙に難易度の高い選曲になったのは申し訳ないですが、「知っている・好きだから」という理由で少しでも取っつきやすく感じていただければ嬉しいです。