皆さんごきげんよう、駆け出しボカロPのIWOLIです。
以前耳コピの難易度について解説をしましたが、
もっと沢山具体例が必要にはなっていないでしょうか?
耳コピ技術の修練にはかなりの時間と場数を要し、
その長い道のりと難しさから挫折してしまった人は少なくないと思います。
そこで今回、難易度解説を行った後から見つけた物を含め、
更にたくさんの「耳コピしやすい曲」を一気にご紹介します!
中々耳コピが正解出来ずもどかしいという方、
知ってる曲がことごとく難しくて苦戦しているという方は、
試しにこれらの楽曲から挑戦してみてください!
①:BPMが遅い・メロディがゆっくり
まず分かりやすく難易度が低くなるのは、シンプルに「テンポが遅い曲」です。
当たり前な話、同じ音が1秒鳴るか0.3秒鳴るかなら、
1秒鳴り続けている方が正確に取りやすいのは容易に想像できますよね。
とはいえ以前解説したように、例え同じBPMでも、
メロディが細かくなればその分難易度は上がります。
ということでまずは、テンポがゆっくりで、メロディも穏やかめな曲をご紹介します。
まず紹介するのはKanariaさんの名曲、「酔いどれ知らず」です。
KanariaさんはBPM遅めな曲も得意とされているようで、この曲はBPM=115。
ちょっと遅いHouseという感じですね。
しかもメロディラインも動きが少なく、とても初心者向けと言えるでしょう。
唯一の落とし穴として、全体を通してスイングしたリズムがあるでしょうか。
イーブンではないためDAWに打ち込んでコピーする際は、
グリッドをスイング率含めて合わせる必要があるのがちょっと面倒というのがデメリットとしてありますね。
続けてKanariaの曲をもう一つ、ご本人歌唱の「BRAIN」です。
こちらはBPM=101と更に遅いため、
ある意味こっちの方が採りやすいと感じる方も多いかもしれませんね。
ただメロディの動きについては酔いどれ知らずに比べてしっかり上下に動くので、
ピッチ面を慎重に取る必要があるでしょう。
またこちらも酔いどれ知らず同様にスイングしているので、グリッドの設定に注意です!
こちらもBPMのゆっくりなボカロ曲、てにをはさんの「ヴィラン」です。
BPM=102とほぼBRAINに並ぶテンポなのでシンプルに音を採りやすいでしょう。
とはいえこちらもスイングかつ跳躍の多いメロなことは注意でしょうか。
お次はトエト。懐かしいですね。最大の特徴は何と言ってもゆっくり!
ヒットしたボカロ曲は高速な事が多い中でこの曲のBPMはまさかの80。
BPM二桁で人気のボカロ曲・ネット曲って相当少ないんじゃないでしょうか…
それだけ1音の時間も長いため、時折16分音符の引っ掛ける音があろうと、
これを超えるほど簡単な曲は結構少ないんじゃないでしょうか?
また全体的に跳躍も少なく流れる様なメロディですので、
音が飛ばない限りは次の音も予測しやすいでしょう。
時折ある跳躍が耳を惹く分、その部分で何処へ音が飛ぶかの判断だけ注意ですね。
これもまたちょっと懐かしいですね、米津玄師さんならぬ、「ハチ」さん時代の「clock lock works」です。
過去にスイングを解説した記事で「実はスイングしてない曲」の1つとして解説しました。
こちらもBPM=93.5とボカロの中では結構遅めです。
実はBPM187でしたという可能性もあると思いますが…どちらにせよ1音の音が、
引っ掛ける音以外は長めなのでコピーしやすいでしょう。
今度はボカロ以外に行きましょう。なとりさんの「Overdose」です。
ダウナーな雰囲気がボーカルとマッチして超素敵ですよね!
この歌もBPMは118と適度にゆったりしているため結構楽なんじゃないでしょうか。
というのも、BPMで見るとさっきより上がっていますが、
スイングも無ければ16分で引っ掛ける音もトエトより少ないので、
clock lock worksに続いて耳コピの練習には良いんじゃないかという考えです。
ただし、跳躍は結構大胆にやってくる点に注意です。
お次は相当に懐かしいですが、悪ノ娘です。
BPMは一気に上がりますが、こちらは大部分が8分音符以上の長さの音で出来ていますので、
忙しくない分、意外とメロディは取りやすい部類に入ると思います。
クラシカルな曲調に合わせてかメロディが跳躍無しで繋がっていることが多いのもポイントですね。
次に紹介するのはちょっと異色ですね、ATOLSさんの「EDEN」です。
こちらはダブステップ的な要素が全面に出た楽曲で、歌うパートが少ないのですが、
ダブステップ、即ち「ハーフテンポ」を強調したリズムに合わせ、
メロディも動きがとても少なく、伸ばす旋律になっているため、
音が合っているか判断する時間的な猶予が長いです。
ハーフテンポで体感BPMも相当遅いのもポイントですね。
ボカロ以外からもご紹介、こちら「ヨワネハキ」です。
穏やかながらリズミカルに綴られるメロディは、ゆっくり聴けるのにノリやすくて楽しいですね。
BPM108とBRAINほどではないですが遅めなので耳コピの勉強にちょうど良さそうです。
気を付けるべきなのは酔いどれ知らず同様にスイングしている上にちょっと跳躍が多い事でしょうか。
またボカロに比べやはり脚色や表現力豊かな歌い方は、魅力的である代わりに
耳コピしようとする者にとっては正確なピッチを掴みづらい、はぐらかされているような状態になるのも注意かもしれません。
適度な揺らぎや抑揚という表現が、ピアノの様な厳密なピッチを取るのを妨げるからです。
ある程度テンポが遅くないとスイングの揺らぎが活きないため、
全体的にBPMは遅めになり、結果耳コピが比較的しやすい曲は多いように思います。
例外はありますが、スイングしている曲から探してみるのもありかもしれませんよ?
まーた懐かしい曲ですが、40㍍Pさんの「巨大少女」です。
これYoutubeには本家動画上がって無いんですね…
穏やかなロックという感じでこれもコピーしやすいと思います。
BPM=135というほど良いテンポに、メロディも8分音符以上の長さが基本で、
これも1音の長さが長めだからですね。
更にもいっちょボカロ懐メロ!とみーさん(またはT-POCKET氏・冨田悠斗氏)の「1925」です。
こちらはBPM145とちょっとだけ速いのでここに入れるか迷いましたが、
結構耳コピしやすいと思うため紹介させていただきます。
というのも次のポイント、「同じピッチが続く」という特徴も兼ね揃えているからです。
スイング(または三連符)のリズムな点は注意ですがオススメですよ!
という事で次は第二の特徴、行ってみましょう!
②:同じピッチが続く
お次は「同じピッチの音が続く」曲を紹介します。
これらはテンポやメロディこそ少し速くても、
同じ音を連打しているため、その速さが気にならず、ただ続けるだけで良い曲ですね。
メロディはリズムとピッチ(音高)の二つの要素で成り立つため、
例えリズムがちょっと速かったり複雑でも、ピッチの変化がシンプルなら難易度はあまり上がらないわけです。
ではそんな、ちょっと速いけど同じ音が続く曲、行ってみましょう!
まずは大人気ベテランボカロP、ピノキオピーさんの「アルティメットセンパイ」です。
ピノキオピーさんの作る歌は結構、同じ音の連打が多めだと思うのですが、
特にこの歌は分かりやすいですね。
サビ頭でいつもの十八番芸としてタイトルを連呼しますが、
その大部分が同じ音な事にお気づきでしょうか?
もちろん作品や時代によってまちまちとは思いますが、ピノキオピーさんはこういった、
16分音符で同じ音を連打するメロディが多いと思っています。
他にもこちらがそうですね。
「すきなことだけでいいです」というとてもシンプルで直球なタイトルを、
これまたサビ頭で繰り返しますが、こちらも繰り返しの多くが同じ音です。
ただし両者に共通して、すべてが同じ音ではないという点には注意して、
どこは同じ、どこでズレた違う音かをしっかり聴き分けていきましょう。
さてお次のこちらも超大人気ベテランボカロPのDECO*27さんです。
「妄想税」初めて聴いた時は衝撃でした…。
DECO*27さんの作るメロディは結構動きが激しく、時にとんでもない高さになりますが、
この曲に限っては同じ音の連打を含んでいます。
ピノキオピーさんほど長くはないため難易度は上がりますが、
音符それぞれで違うよりも複数の音符において同じな方が、
確認できる時間的な猶予が長いので楽なのは間違いないと思います。
ただし、繰り返す回数や場所による変化は聴き洩らさないよう注意しましょう。
同じ音が続く最後の曲はこちら、Orangestarさんのアンセム「アスノヨゾラ哨戒班」です。
かなりアップテンポな曲ですが、こちらを挙げた理由はちょっと特殊です。
先ほどまでの曲は、「同じピッチの音符を連続させる」という共通点がありましたが、
この歌で特筆したいのは「ロングノート」です。
やはりこちらで一番印象的なのは、サビで一気に晴れ渡るような解放感かと思われます。
この魅力はもちろん後ろのオケが盛り上げているのもありますが、
非常に大きな理由として「サビ最初の音が長い」というのがあると思います。
それまでは8分音符くらいの長さやシンコペーション、
2番には16分連打もあったりと細かいメロディが続きますが、
「僕の手を」で引っ張ってからのサビ、「空へ舞う」の、
「舞~~~~~う」で思いっ切り引っ張りますよね?
2拍以上の長さがあるため、ここをきっかけにメロディの要を掴むと、
それ以降もその前の「空へ」部分も取りやすくなると思います。
メロディの途中だけ同じ音が続くというのは
どこからどこまで同じかを見誤る可能性がある点に注意です。(後述)
一部の音が同じのまま続く曲は、それ以外の部分で苦労する可能性こそあれ、
「一部の音は分かっている」というだけでやりやすくなると思います。
一輪車の漕ぎだしだけ手すりに掴まっておく感じですかね。
ただしこういった曲を耳コピする際には注意を払っておくべきポイントがあります。
まず、同じ音だと分からず色んな音を探っても中々当たらないということがあり得ます。
今回の様にヒントがあればマシかもしれませんが、実際コピーするとなると、
まさか同じ音だったとは思わずに後ろの音をずらし、「何にしてもなんか変!」ということは耳コピ初心者あるあるだと思います。
耳コピする時は、例えば敢えて同じ音に揃えて、リズムだけ揃えて鳴らしてみるなどを試し、
「ここはズレてそう」というのを消去法的に変えていくのもありですね。
もう1点の注意点が、同じ音の連続の内、実は一部のだけズレている時です。
これは中々厄介で、特に速い曲だと一部がズレた音でも意外にスルっと聞き逃してしまうことってあります。
また今回紹介した曲も、ワンフレーズ丸ごと同じ音というのは流石になく、
どこから音が変わっているかは個別に判断する必要があります。
ここはまさにトレーニングなので、何度も何度も同じ場所を聴き返し、
どの音が違うのかをかき分けて探しましょう!
③:跳躍が少ない
最後に紹介するのは「跳躍が少ないメロディ」です。
これはそこまで簡単になるとは限らないですが、
音の上下のみに注目して少し動かせば解決するメロディという事なので、
僕が以前紹介した力業耳コピが刺さります。
この記事ではリズムだけ合わせた後、1音ずつずらして合う所を探すため、
元のメロディが跳躍せず隣り合った音に移るのなら、
次の音の上下さえ分かれば一瞬で正解できます。
という事でそんな跳躍の少ないメロディを持つ歌を紹介します。
むしろハモりが強く目立つ歌が(少なくともボカロでは)あまり多くないかな…という事で今回は省きます。
まずは美しいメロディが特徴的な、のぼる↑Pさんの「鎖の少女」です。
昔の僕にめっちゃ刺さったなぁこの歌…
のぼる↑Pさんの歌は比較的跳躍が少なく、とてもなだらかに繋がったメロディが多いと思っています。
「もう何もかも嫌になる前に」など、動きはあるけど自然体で滑らかですよね。
またそれ故に時折やってくる跳躍が映えるとも言えます。
耳コピする側にとっては、この跳躍の少なさが次の音の予測しやすさになるでしょう。
同じようにこちら、モノクロ∞ブルースカイについてもとてもメロディが滑らかです。
鎖の少女に比べると少し跳躍が多いですがとても自然で綺麗ですので、
あちらのメロディを取った後はこのモノクロブルースカイに挑んでみるのも良いでしょう。
次は趣向を変えてこちら、弌誠さんの「モエチャッカファイア」です。
こちらは少し曲者ではありますね…何より歌い出し、
「ようこそお越しになさったご主人様」が、もはや「よ”う”こ”そ”」としゃがれた感じで、
ここは初心者が耳コピするもんじゃないかもしれません。(可能だとは思いますが。
ですがそれが終わった後、「こんなんで誰が喜ぶのさ」や、
サビの「ひらりはらり 女の子」以降など、メロディがはっきり顔を出すと一変。
多くが隣同士繋がっているメロディになっているので結構取りやすいと思います。
ただしアップテンポな事もあり、どちらかというとこっちの方がやりやすいかも?
通称「モエツキチャッタファイア」。同じ曲をとにかくやる気なくアレンジしたものですね。
字幕のやかましさに意識が行きがちですが、メロディそのまま相当ゆっくりになっているので、
当然ながらかなり音を取りやすいと思います。
何よりボーカルだったものがアンデスという楽器に置き換えられているため、
若干の揺れはあれどむしろ聴きやすくなっているのではないかと思います。
(リコーダーでは無いらしいです)
あと気を付けるとしたら、それでも跳躍が無いわけでは無いことと、
たまに臨時的な半音がある事でしょうか。
この辺は音楽理論の話になってくるので以下記事をご覧ください!
二つのモエチャッカファイアを比較しましたが、
個人的にボーカルメロディは耳コピしにくいと思っています。
理由はボーカルとは歌詞を歌っているため、常に細かい音色変化をしているためです。
加えて上手い人ほどしゃくり、ビブラートなどの揺らぐ表現も用いるため、
楽譜的な正しいピッチがどこかというのを推し測りにくいのだと思います。
なのでもしカバー作品などがあれば、出来るだけ変化や揺らぎが少ない物を、
バージョン違いや二次創作などで探した方が難易度は下がる可能性があるでしょう。
まとめ
ということで今回は、耳コピが簡単な曲を紹介してきました。
今回挙げた曲の様な特徴を持つ作品は、ヒット曲の中で探すのはちょっと難しいと思っています。
何故なら今回挙げた、
- メロディがゆっくり
- 同じ音を続けるまたは引っ張る
- 跳躍が少ない
といった特徴は、理解しやすいという特徴と背反に、
退屈、つまらないという印象に繋がるリスクを持ちます。
早く展開しないと急かされるし、同じことを繰り返しても飽きられるし、
遠くへ飛ばずに近場で済ませても意外性がありません。
しかしそれを解決するということは、耳コピの難易度も上がるということ。
そのため僕の体感ですが、人気曲、バズった曲は割と耳コピが難しいことって多いなと思います。
その分、「あっこれ簡単かも!」と思ったものを見つけた時はすかさずリストなどに入れ、教材にしてみてください!
僕も今後見つけたら更新し追加していこうと思います。
簡単な曲からスタートし、耳を鍛えていきましょう!
それでは、オヤカマッサン!










