皆さんごきげんよう。IWOLIです。
今回は耳コピの中でも特に難易度の高い「コードの採り方」についてお話しします。
コードは同時に鳴る複数の音により楽曲の雰囲気を彩ります。
そしてその移り変わり、コード進行によって、
単音では表現できなかったストーリーや世界観を演出できます。
しかし、やはりコードはメロディ・ベースと違い、一つ飛びぬけて耳コピが難しいです。
まず、複数の音の重なりを取るのが難しい。
更にコードはメロディなどと違い、雰囲気を決める物なので、
音自体はかなり目立ちにくいという点も聴き分けが困難です。
この記事ではそんな、耳コピの最難関、
コードを少しでも楽に耳コピするためのテクニックをご紹介します!
とはいえ、今回の内容は耳コピの中でも中々に上級者向けだと思います。
例えメロディやベースをコピー出来たとしても、その経験が10曲ぐらいでは厳しいかもしれません。
もし、「そもそもメロディやベースが上手く採れない事がある!」という方は
以下の記事を参考に更に経験を積んでみる事をおすすめします。
何せここから先は、
- 二つの音を聴いて調和しているかどうか分かる
- ベースラインまでは確実に採れる
という前提のもとお話ししていきます。
人によっては過酷かもしれませんが、挑戦したい方は頑張ってついてきてくださいね!
いざ!コード進行の沼へ!
Contents
①ベースラインからコードの構成音を予測する
さて、いきなりベースの話になりますが、
この方法が最も簡単な判別法です。
一般的な規則として、
ベースラインはコードの一番下、ルート音(根音)を鳴らす
というものがあります。
逆に言えば、この規則に則ったコードであれば
ベースラインが分かれば、それがルートであるコードが鳴っているかもしれない
という事もわかります!
またもう一つ、例外も多いですがコードの基本形は、
ルートからスケールの音を一つ飛ばして3つ重ねる
ことで作られます。
一つ目の判断方法は、この二つのルールに沿っている可能性にいわば賭けます。
こちらをお聞きください。
こちらは分かりやすいように、コードと裏打ちベースのみを鳴らしたデモです。
練習したいという方は、こちらで耳コピしてみるのもいいかもしれません。
自力で暴きたい方はここで一度ストップする事をお勧めします。
では先ほどのデモを詳しく見ていきましょう。
このデモを、ベースは耳コピ出来たとします。
ベースラインだけ鳴らすとこうなります。
こちらの打ち込みはこんな感じです。
ファ・ソ・ミ・ラ
となっていますね。
そして、この曲(?)のベースラインが、先ほど言った
ずっとコードのルートをなぞっていたら?
コードの基本は「ルート音からスケールの音を1個飛ばしに重ねる」です。
例えばもしこの曲がCメジャーキーで作られていた場合、
各ベース音が鳴っている時のコードは
ファ:ファ・ラ・ド
ソ :ソ・シ・レ
ミ :ミ・ソ・シ
ラ :ラ・ド・ミ
と予測できます。
実際の音を確認してみましょう。
分かり辛いですが、構成音は先ほど言った通りになっているのが分かるでしょうか。
この部分に注目してください。
順番に、
ファ・ラ・ド
ソ・シ・レ
ミ・ソ・シ
ラ・ド・ミ(一番下は後で解説します)
となっています。
その下にある二つずつの音はそれぞれ、
ファ・ド
ソ・レ
ミ・シ
ラ・ミ
と、上にある音から真ん中を抜いたものです。
こういった、オクターブが違うだけのコード構成音と同じ音を重ねるテクはよく用いられます。
最終的にこのデモ曲のコード進行は
F・G・Em・Am
であると分かりました。
Cメジャーキーとして度数表記に変えると
Ⅳ-Ⅴ-Ⅲm-Ⅵm
となります。
これはJ-POPでは本当に頻繁に用いられてきており、その日本人好みなサウンドから
王道進行
という通称が与えられています。
今回のテクニックは万能ではないですが、
- ベースラインがコードのルート音をなぞっている
- コードがスケールの音を一つ飛ばしで重ねている
という二つの条件が揃っていることも少なくなく、
ワンチャンを賭ける価値はあると思われます。
②実際に鳴らしてコードと調和するかどうか確かめる
さてその②は一つ目の方法では正確なコードにならなかった時の採り方です。
これがコードを採る真髄であり、難しくする諸悪の根源です!
例えば、ベースラインがルート音ではなかった場合や
コードがスケールの音一つ飛ばしではなかった場合ですね。
まずは少し楽な方から
1.ベースはルートではないがコードは基本形
例えばこちら
※こちらも同じく、コードとベースラインだけになっています。
先ほど同様に、ベースラインは分かったという前提で進めていきます。
ベースラインはこんな感じ。
段々と降りていく前半が印象的ですね。
打ち込みはこんな感じです。
試しに2番目の音、シから一つ飛ばしに音を重ねられるか試してみます。
まず、レを同時に鳴らしてみましょう。
ベースラインとは違いますが違和感は特にありませんね。
では今度はファを鳴らしてみます。
どうでしょうか?
ファを鳴らしているリードの音が明確に浮いて調和していないのが分かりましたでしょうか?
つまりここのコードは、ベースラインはシだが、
それをルートとした一つ飛ばしのコード、Bm(♭5)ではないということです。
ではすこし推理してみましょう。
Cメジャーキーのコードで、シ・レを使うコードは、
G・Bm(♭5)です
そして、Bm(♭5)ではないのなら、Gである可能性が高いはず…!
一つ上げてGのルート、ソを鳴らしてみましょう。
幸い、調和してくれました!
ということでこのコードは、
少なくともソ・シ・レを含んだコードである
という事が分かりました!
4つ・5つと重ねたコードも存在するためです。
こちらの判断は4つ目以降の音を、同様に重ねて違和感が出ないか確かめますが、
判別は更に困難になります。
同じように他のコードを採っていくと、最終的にはこうなります。
また複雑ですみません…
答えを言ってしまうと構成音はそれぞれ
ド・ミ・ソ
ソ・シ・レ
ラ・ド・ミ
ミ・ソ・シ
ファ・ラ・ド
ド・ミ・ソ
ファ・ラ・ド
ソ・シ・レ
です。
ですが、このコードの打ち込みを見ても、最低音はコードのルート音ではありません。
ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・ファ・ソ
と、シンプルに下がって上がっています。
この、ベースがコードのルートでない音を弾くことをオンコードと言います。
今回のように動きを滑らかにする目的の他、少し違った響きを作るためにも用いられるテクニックですね。
今回はオンコードの滑らかさが特徴のカノン進行の亜種をデモとして使用しました。
構成音さえ同じであれば順番は何でもいいという特徴があります。
順番を変えた物を転回形といい、
音同士の間隔が狭いものをクローズドボイシング
広いものをオープンボイシングと呼びます。
オンコードの場合は少し苦労しますが、
ベースの音を含んだコードの候補から絞り込めば、何とかなるかもしれませんので試してみましょう!
2.コードがスケールの音を一つ飛ばしで重ねていない
さてもう一つのパターン
コードがスケールの音の一つ飛ばしではない場合です。
この場合は最早楽な方法はありません!
一音ずつ試して調和する所を探していきましょう!!
例えばこんな場合。
個人的に大好きな進行でもあります
こちらもベースラインから見ていきましょう。
先に言っておきますが、Cメジャーキーです。
ここで耳コピした方は既に「えっ?」と思われていると思います。
打ち込みを見てみましょう。
うわでた
どうも、スケール外の音くんです。
もう嫌な予感しかしませんね?はいその通りです。
ここからは、己の知識と耳を頼りに片っ端から試します!
例えば一つ目のコードにドをあわせます。
これは調和しましたね。
では、試しにミをあわせます。※音量注意!
うわっ
って感じましたか?
そうです、不協和音ですね。
とてつもなく不安定ですが、きっと近くに答えがあるはず!
ということは、半音上のファでしょうか?
なんか違いますね…
ということでスケール内ではないですが、ミ♭を試してみましょう。
キター!
ようやく合いましたね!
どうやらこのコードはA♭メジャーだったようです。
こんな感じで採ると、最終的にはこうなります。
構成音は以下の通り。
ラ♭・ド・ミ♭
シ♭・レ・ファ
ド ・ミ・ソ
見事にスケール外の音を使ったコードを連発していますね。
それ以外はノンダイアトニックコードと呼ばれます
こうなってくると耳コピはかなりの難易度になってきます。
何せスケールという絞り込みが通用しないので、
知識無しにはしらみつぶしに頼らざるを得ません。
またスケール内に収まっていても、一つ飛ばしでない音を使うコードも存在します。
これらのコードや使われる音にも理論や傾向はありますが、
そのパターンは一朝一夕に覚えられるものではなく、
知らずに挑めば途方も無い作業になりかねません。
個人的にはこのパターンこそが、
コードの耳コピ難易度を跳ね上げる最大の要因だと思っています。
こればかりは、
- 調和するか否かを聴き分ける耳を鍛える
- コード進行やスケール外の音のパターンを知る・覚える
といった方法で、地道に対処法を身に着けていく他ない部分だと思います。
有名どころではなんとスーパーマリオブラザーズのコースクリアがこれです。
その他にも、米津玄師さんのピースサインもサビのラストに用いられます。
めちゃめちゃテンションのアガる進行ですねー!!!
まとめ
以上がコードの耳コピテクニックでした!
本当にお疲れ様でしたっ!!
試しにやってみた方は分かったと思いますが、コードの耳コピは本当に大変です。
基本に則った、予測だけでどうにかなる場合なら、
実質ベースラインさえ合っていれば何とかなりますが、
実際問題、J-POP・ボカロなどではこういった普通過ぎる進行だけで完結するケースは多くないと思います。
何なら、今回のデモでも苦労した方もいらっしゃると思いますが、
これでさえはっきりしたコード音とベース以外が鳴っていない状態で、
コードは聴き取りやすく作られているはずです。
実際の曲の場合はここにメロディが更に目立つ形であり、
ドラムやその他さまざまな音が楽曲を彩ります。
それでこそ素晴らしい曲として完成されるわけですが、
いざ耳コピとなるとこれらが全力で妨害してきます!
なので、テクニックこそお教えしましたが、
これをやれば誰でもできるとは言いません。
最初のうちはむしろ、自分なりに予測した後は
楽譜を確認して学ぶ方が良いと思います。
そうして、自分が間違えた場所と
この世に存在する様々なコード進行を知っていきましょう。
結構根性論ですが、こうしてトライ&エラーで鍛えていく他ないかな?と思います。
大変な道のりですが、挑みたいという方は果敢に挑戦しましょう!
きっと、ここを乗り越えることでしか得られないものがあるはずです!
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