貴方もボカロ曲、作りたくないですか?
VOCALOIDの台頭から、時代は「誰でも作曲家」な世界に。
数多の人がボカロPデビューし、各々が持つメッセージを形にしています。
そんな様子を見て、ボカロを愛する人なら一度は思ったことがあるはず。
「私もやってみたいかも…」
皆さんごきげんよう、駆け出しボカロPのIWOLIです。
今回は自分もボカロ曲を作ってみたいけど、
「何からやれば良いのか分からない!」という方のために、
ボカロPの始め方を解説します。
また、ボカロ系では一番有名な初音ミクの他、
作曲では有料のソフトや機材などがよく用いられ紹介されていますが、
今回はお金を掛けるのが難しい例えば学生の方にも優しい、
無料で利用できるものをたくさん紹介していきます。
是非参考にしてくださいね!
Contents
必要な物
まずはボカロPになるために必要な物やソフトを紹介します。
基本的には作曲の為に必須な物と変わりありませんが、
「それが分からない!」という方のために、最低限のものを列挙しますね。
- デジタルデバイス:パソコン・タブレット・スマホなど
- 歌声合成ソフト:VOCALOID・UTAUなどのエディター
- 歌声ライブラリ:初音ミク・重音テトなど
- 編集ソフト:DAWソフト
- その他音源・エフェクター:VSTプラグイン・サンプル素材など
この辺りが必須になってくるかなと思います。順番に解説しますね。
デバイス:PCなど
まずこれがないと始まりません。PCなど、曲を作る・編集する本体です。
ミク達が歌うステージか、その建物と言えるかもしれません。
こういったデジタル上、机上で音楽制作することをDTM、“Desk Top Music”と言います。
DTMで作曲する人を「DTMer」なんて言ったりしますね。(変換がしにくいけど)
ここだけは流石に無料では厳しいですね…
一般的なのはやはりパソコンで、必要なソフトを立ち上げて編集するというスタイルですが、
近年はスマホ向けのアプリも充実してきているため、そこを入り口にするのも良いかもしれません。
スマホでのボカロPやDTMを非推奨とする意見がしばしば見られますが、
これは本人の慣れに加えて普及率や限界の高さなどがあると思われます。
出来ればPCの方が良いですが、今はスマホでも結構色々出来ると思いますよ!
周辺機器は何が要る?
ここで気になるのがその他のハードウェア、ヘッドホンなどですね。
特にPCの場合は色んな機材が紹介されていますが、
これから始めるという段階なら無理に買う必要は無いと思います。
スマホ単体とか、PCに付いてくるモニター・キーボード・マウスにプラスでイヤホンとかで良いでしょう。
もっと良いものが作りたくなった時に買い足してください。
安過ぎるイヤホンやモノラルのスピーカーしかないと、
出来上がった物をよい環境で聴いたリスナーから、
「どっから何鳴ってんだ!?」というツッコミがあるかもしれませんが…
初めてなんてそんなんで良いでしょ、というのが僕の意見です。
歌声合成ソフト:VOCALOIDなど
2つ目が歌声合成ソフトです。所謂ボカロという愛称で親しまれているVOCALOIDなどです。
エディターソフトとも言えますね。
気を付けていただきたいのは、有名な初音ミクや可不、flowerなどは後述する歌声・音声またはキャラの名前であり、
ソフトの名前はVOCALOIDやCeVIOなどですね。
今回オススメするのはこちら、”VoiSona”というソフトです。
まずエディターが無料!そして後述するライブラリ1人も無料!
これまでボカロPを無料で始めるとなったらUTAU一択でしたが、
こちらは歌声もAIがそれっぽくしてくれたりとかなりおすすめです!
もちろんUTAUもライブラリの充実度など良い所は多いですが、
個人的にはそれを更に使いやすくしている“OpenUtau”というのをオススメしています。
歌声ライブラリ:初音ミクなど
さて3つ目に歌声ライブラリというのを紹介します。
さっきも軽く説明した通り、ここがキャラクター名などで区別される、
音声・歌声の事です。初音ミクとか、結月ゆかりとかですね。
ボイスバンクと呼ばれることもあります。
最重要項目として、このライブラリは対応しているエディターでしか動作しません。
例えるなら、歌声ライブラリがアーティストなら、
エディター(歌声合成ソフト)は国別の事務所…という感じでしょうか。
ただの事務所違いではなく、言葉が違うから読めないという感じです。
なので例えば初音ミクをVoiSonaで歌わせることは出来ません。
現在VoiSonaには複数のライブラリがありますが、
第一弾である知声はなんと無料で公開されています!
めちゃめちゃ良い声なので、「この声が欲しい!」とかで無ければ彼女で不足はないでしょう!
もし初音ミクが良い場合、ミクには現行で2種類あり、
初音ミク V4XならVOCALOIDもといそれを動かせる“Piapro Studio”というソフトが、
初音ミク NTという別のボイスライブラリなら“Piapro Studio NT”が必須になります。
それぞれに互換性は無いので注意!
編集ソフト:DAW
4つ目にDAWというものを紹介します。
「デジタルオーディオワークステーション」”Digital Audio Workstation”を略してDAWです。
すなわち音声編集ソフトという事なんですが、何故か音だけは他の画像とか動画と違って、
DAWなんていう横文字で呼ぶのが一般的です。
こちらは歌声合成ソフトとライブラリで生み出したボーカルパートに加え、
その他のオケ・インストを作ったり、合わせて編集するための物です。
取り敢えず歌声が聴きたいだけなら不要ですが、
もしちゃんとオケに合わせたいのであれば簡易的なものだけでも入れておきましょう。
大丈夫!今ではDAWまでもが無料でかなり高品質です!
オススメを幾つか挙げておくので選んでくださいね
個人的には、Reaperを長く使っていたのでとても親しんでいるのですが、
Cakewalkは元々有料で何万もしたものを無料で公開しているような状態なのでかなりおすすめです!
要求スペックがちょ~っと高いのが玉に瑕ですが…
その他音源・エフェクト:プラグイン
最後5つ目に、ボカロ以外の音源を解説します。
先ほどのDAW上でインスト、ボーカル以外を作るためのものです。
演奏・録音が出来なくてもこれらを使う事で解決できちゃう、それがDTMの良さですね。
こちらはかなりの数が出回っており、無料での選択肢も山の様です!
まあボカロ以外のDTM全般で使われるので当然と言えば当然ですが…。
あまりに多いのでこちらの記事をご参考ください!
ボカロ曲の作り方・手順
さて必要なものは揃いました。
ですが、これらを使って実際にどうやって作っていくのか、
そこがイメージ出来ない方も多いのではないでしょうか。
ここではそれを簡単に解説していきます。
曲を作るという行為は色んな細かい手順に分けられます。
ここではボカロ曲に特化した作曲の手順を解説します。
- テーマ
- 作曲
- 作詞
- 編曲
- 調声
- ミキシング
- マスタリング
これらはこの順で作られるとは限りません。(録音が入る場合もあります)
時には別の工程にスライドしたり戻ったり、同時並行で進める事もあります。
明確に区別するのが難しいものもありますが、上から一つずつ僕の解釈も踏まえて解説します。
テーマ
いきなり意外かもしれないものが来ました。
僕は作曲でする1つ目の工程はテーマだと思っています。
言い換えると、「これは何の曲か」「何が歌いたいのか」という部分です。
つい見落としてしまいがちですが、これ無しでヒットする曲はまずありえないでしょう。
どんなにくだらない(失礼)、或いは意味不明(これも失礼)な歌でも、
ヒットした裏にはリスナーに何かを訴えかけるテーマがあったはずです。
詳しくはこちらの記事で。色んな有名曲を例に、
「どんなテーマだから刺さったか?」を語っています。
バズった曲のサムネがいっぱい!どれがどれか分かるかな??
作曲
2つ目には作曲を挙げました。
よく「作詞作曲」なんて言うように、日本では昔から作詞が先に来る考えが根付いていそうですが、
作曲を先にした理由も後述します。
作曲、曲を作るとは何か。僕は「メロディとコードを作る」だと思います。
ここは時代や人によっても意見が割れる所だと思いますが、
出来るだけ細分化すると作曲はこの二つを作る事にまで絞り込めるでしょう。
メロディは音楽で一番目立つ・注目する単一の音程を持ったパート、
コードとは複数の異なる音「ド・ミ・ソ」などを組み合わせた和音で曲の世界観やストーリー展開を表現するパートです。
これらによって、テーマという作品の核から基盤、骨組みが生まれます。
詳しくは以下で解説しています。
作詞
3つ目に作詞です。
こちらはイメージしやすいでしょう。歌の言葉の部分を決める工程です。
作曲に比べ作詞は、何となくここは出来そうとか、
歌詞だけ作ってみるという方も多そうですね。
ですが、作詞から始めると後で意外と苦戦するという意見もあります。
昔からある語り口調な歌なら、メロディの辻褄を合わせやすそうですが、
現代的なメロディックに動き回る曲とは相性が悪い印象があります。
また慣れないうちは歌詞を詰め込み過ぎて、歌に向いてない詩になってしまう事も多いでしょう。
慣れないうちは曲から作るか、むしろメロディと歌詞を同時に考えるというのが良いと思っています。
一つの判断基準として、替え歌と即興歌詞で歌うのとどちらが得意か?
という事を考えるのはアリだと思います。
僕は替え歌や歌の無いインスト曲に歌詞を付けるのは得意ですが、
逆に今思いついた何気ない言葉を勝手に節に乗せて歌える人も居ますよね。
作詞作曲をする時には、これのどちらの方が得意かで順番を決めると良いでしょう。
編曲
4つ目が編曲です。アレンジとも言いますね。
これまで作ってきた曲に色んな楽器や演出で肉付けしていく部分です。
よく「曲調」という言葉で表現される要素がここで決まります。
これまでの工程ももちろん大切ですが、ここもかなり重要です。
例えばさっきの記事紹介でも出している「強風オールバック」が、
フルオーケストラで鳴らされてたら流石にシュール過ぎますよね?
ネタとしては面白いけど公式でやったら「えっ?こういう歌なの?」という困惑が勝ちそうです。
逆にこういったアレンジ面を大きく変えると雰囲気が変わってとても面白いと思います。
よくある例として、有名曲のユーロビート化は頻繁にありますよね。僕も大好きです。
かなり曲の雰囲気・テーマに与える影響が大きいので、
僕はよく作曲開始の序盤から軽い編曲を始め、
作詞作曲と同時並行する事も多いです。
作詞作曲に勝るとも劣らぬ、何なら超え得るほど奥が深い世界で、
DTMに関する情報は編曲面にフォーカスした物がかなり多いなという印象ですが、
恐らく最もPCスペックを食う工程でもあると思います。。。
調声
5つ目はボカロ特有の工程、調声です。昔は調教なんて言いましたが最近聞かないですね。
ここも編曲に踏まえてしまえる部分ですがボカロ特有という事で挙げさせていただきました。
特にAI機能を持たなかったかつてのVOCALOIDに顕著な傾向として、
楽譜そのままだと不自然になってしまうという欠点がありました。
ここを解決すべく細かい調整・工夫を行います。
これまでの工程に比べて重要度は下がりますが、
高度な調声の施されたボカロ曲はそれだけで目を見張るものがありますね。
一方で最近は高度なAIを搭載し、
細かい調声無しでかなり人間っぽく歌えるタイプも居ます。
前述のVoiSonaもその一種ですね。
ミキシング
6つ目はミキシングです。
聴きなれない人も多いと思いますが、これは一言で言うと
楽曲全体のバランス取りです。
例えばボカロ曲なのに、ミクの声が小さ過ぎたら寂しいですよね?
逆に、歌声がデカすぎたり、ドラムやベースばっかり聴こえても困ります。
こういったアンバランスを除き、よりよい音源にする工程です。
と言ってもこれはとても難しい作業です。
解説も沢山ありますが、最初はビフォーアフターの違いすら分からないという事も多いと思います。
出来るに越したことは無いですが、最初はあまり気負わずに行きましょう!
マスタリング
7つ目、最後の工程はマスタリング。
これで各種のリリースが出来る音源にしていきます。
ミキシングが終わった音源を整え、どんな環境でもいい感じに聴こえる様にしたり、
十分な音圧にしたり、CDに焼いたり…
ただ、厳密なマスタリングをしようと思うとミキシング以上に繊細で専門的な機材や知識、技術が問われます。
本気ならそういう専門家に依頼するのが良いですが、
「やってられるか!」という人が多いと思います…
少なくともボカロPを始めるという段階でここについて深く考える必要は無いでしょう。
簡易的な音圧上げで良いです。(それは流石に適当過ぎるか)
リリース:作った歌を世に出そう!
ここまでで、オリジナルのボカロ曲が完成したとします。(3分間クッキング)
でも作っただけだと寂しいですよね?
そう、公開しないと自分以外は誰も知りません。
という事で最後に初心者でも始めやすい、作った歌の公開方法を幾つか紹介します。
音楽投稿サイト
一番簡単なのはやはり音楽投稿サイトでしょう。
ボカロ界隈を見ている方なら「ピアプロ」というサイトは知っている方も多いのでは?
こちらでは無料で自分の作った作品を投稿・共有できます。
動画も不要なので最初の入り口にピッタリ!
他にはSoundCloudやBandcampも候補に挙がってきますね。
海外向きという印象が強いかもしれませんし、ピアプロの様なボカロ特化ではもちろんないですが、
音楽だけのリリースとして人口が多いのはアリなんじゃないでしょうか!
一方で欠点として、音楽は音楽のみ(あとは概要の説明)だけとなるので、
印象に残しにくいというのは否めないでしょう。
動画で投稿
これをいの一番に思い浮かべる方は多いでしょう。
Youtubeやニコニコ動画などに動画として投稿するパターンです。
こういったサイトはとても人口が多いだけでなく、
ボカロ曲を探している人もとても多いためおすすめです。
また動画があるとビジュアル面でもテーマを訴えかけられるのも良いですね。
欠点はやはり動画を付けなければならない事です。
手間ではありますが、根気のある方は
フリー画像・イラストや無料編集ソフトを駆使して挑戦してみてください!
例としてイラストはピアプロのイラストカテゴリ(ライセンスに注意!)の他、
春氏が公開されている「ノーコピーライトガール」をお借りするのも良いでしょう。
動画編集には大昔からネットの動画氏を救済し続けた「Aviutl」や、
「DaVinci Resolve」というソフトもおすすめですね。
各種SNSにDAW画面を映して投稿!
「動画投稿サイトが良いけど動画を作るのは自信が無い…」
そんな方がより手軽に出来るのが、DAW画面を映した動画です。
OBS Studioなどのソフトを使えば、PCの画面は簡単に録画ができます。
DAWから書きだした音声を合わせるなら結局、動画編集は必要になりますが、
ある程度動きのあるビジュアルを含んだ作品として公開・共有ができます。
欠点はやはり、別に見栄えが良いかと問われるとそうでもなく、
むしろ同じDAWソフトならほとんど差が無いため、音声より差別化できるかというと疑問がある点でしょうか。
と言ってもこれは逆に長所になる場合があります。
例えばこちらは僕の動画ですが…
サヨナラ予報 J-Core Remix #dtm
DAWの画面が映っているため、曲のリスナー層というよりも、
同じように曲を作っている同志たちへのアピールになります!
それもあってかこの投稿スタイルは完成品というより、
ちょっとしたTipsや作業中、WIPを投稿したい際などに用いられる印象があります。
即売会で頒布!
最後に、ちょっとハードルが更に上がってしまいますがこんなものも。
これまではオンライン上での共有でしたが、個人でCDを作りイベントで売るという事も出来ちゃいます!
即売会というやつですね、所謂「コミケ」や、音楽・音声特化の「M3」、
ボカロ特化なら「THE VOC@LOiD M@STER」通称「ボーマス」があります。
もちろん他にも色んな形で開催されていますよ!
ネットでの公開と違って物理的なCDを用意したり、
イベントへの参加の準備などやる事が一気に増えてしまいますが、
画面に向かっているだけではありえない出会いがたくさんあって楽しいですよ!
まとめ
ということで今回はボカロPの始め方と題して、
ボカロに関する創作を始めるのに必要なあれこれを解説しました。
「結構やる事が多くて大変…」と思われるかもしれませんが、
いきなり全部やる必要はありません!
最初は楽しいと思えるところから、例えば誰かの有名曲を持っている環境で再現してみるとかでもいいです。
とても奥が深い世界ですが、一緒に楽しんでいきましょう!
それでは、オヤカマッサン~