皆さんごきげんよう、IWOLIです。
今回からは以前解説したダーリンダンスのユーロビートリミックスを深掘りし、
シンセリフがどのようにしてユーロビートらしくなるのか、
何故ダーリンダンスのイントロリフはユーロと相性が良いのかを解説します。
Contents
Eurobeat Remixの再確認
まずは題材のRemixを聴いていただきましょう。
簡素な作りですが結構ユーロの要点は押さえられたかな?と思います。
今回はこれらのパートの内、原曲のメロディラインにあたるパート、
即ちRemixで言う、シンセリフがテーマです。
それらだけで聴くとこんな感じ。
1トラック目のシンセブラス系のメインリフと、
2トラック目のキラキラしたシンセリードによるカウンターメロディです。
2つを合わせると原曲に近くなりますが、
ここからは原曲から変えてある部分と、2つに分けた理由について解説していきます!
原曲のメロディ
ともあれ原曲をちゃんと確認しなければ、正確な比較はできません。
ということで順番が前後してしまいましたが、原曲のリフです!
未だにかいりきベアさんでトップクラスにお気に入りです。
この通り、原曲ではイントロリフはコロコロした可愛い音色で、
付点8分音符を多用したキャッチーなメロが特徴ですよね。
こちらをDAW上で再現してみるとこんな感じになると思います。
今回のRemixは音程面は大きく変えていないので、
リズム面で細かく特徴を上げてみましょう。
- 2小節ごとに、シンコペーションの無い、16分音符のフレーズ
- 付点8分+付点8分+8分のリズムを多く繰り返す
- 4小節目で16分を多用したフィルに近いメロディ
といったところでしょうか。
特に付点8分の多用はかいりきベアの他の曲にも多いため耳に残りますね。
このようなリズムをそのまま使っても、
それなりにユーロらしいと言えるとは思います。
全く同じメロディリズムで音色だけ変えた物
MIDIデータは同じなはずなのに、印象はかなり変わりますね。
ここから、具体的にどこを変えてユーロビートっぽくしたのか解説していきます!
ちなみにユーロビートからは逸れますが、
原曲でのあの特徴的な音、僕はシンセで頑張って再現しましたが、
かいりきベアはあの音を何とご自身のギターで鳴らしているそうです。
ギターってこんな音鳴るんですね…
ブラスパートの刻み
まずは恐らく最も分かりやすいであろう、
シンセブラスのより小刻みになったリズムについて解説します。
MIDIの打ち込みを見つつ聴いてみましょう。
比較できるよう、原曲を1オクターブ下げたものも表示しています。
※ブラスのハモりは消しています。
最後や一部のノートを除き、ほとんどのノートが原曲より短く、
細切れに連打されているのが分かると思います。
ここからは本当に細かく見ていくので、
今回は1小節目のみに区切ってお話します。
短くなったノート
1つ目はシンプルで、僅かに短くなったノートです。

ブラスの方で言う、1・2つ目の16分音符が、
僅かに短くなっていますね。
これは特にシンセなどの持続音で良く用いられるテクニックで、
次の音の直前をちょっと空ける事でキレを良くします。
試しに16分音符を伸ばしたり、逆に極端に短くしてみます。
微妙な差ですが、意外と印象が変わりませんか?
多くのDAWは初期状態でグリッドに沿うようになっているかと思いますが、
今回の様な微調整をしたい時は「スナップ」をオフにしましょう!
ところで、4・5つ目のノートは、
元が8分音符だったものが16分音符になっていますね。
こちらはもっとシンプルで、単純に小刻みな連打がユーロらしいと判断した結果のアレンジです。
1小節目の最後にもある16分と合わせて比較してみましょう。
「タカタッ」というリズムがスピーディで良いですね!
16分音符主体のリフは確かに分かりやすくユーロビートっぽくなるため、
多くのブラスリフで採用されてはいますが、
別に必須という訳ではなく、特にユーロビート界の伝説、
DAVE RODGERS氏は8分音符主体でも滅茶苦茶カッコいいリフを作るイメージです。
分かりやすいのがこちら!
リフに16分音符は一切なく、音符の数自体もかなり少ないですが、
それでもめっちゃかっこいいしユーロビートの代表曲とまで言える曲です。
とはいえやはり音符の少なさ故、下手に挑むと勝負どころが少ないせいで
かっこ良くするのには苦労するかもしれません…
16分のシンコペーションでつんのめる
お次はさっきもちょっとだけ流れましたが、
1小節目の後半にあるつんのめったリズムです。

ハイライトされたこの部分ですね。縦でみるとリズムが結構ズレています。
下の原曲メロと、同じ音で見比べてみると、

まずG♯の音が16分音符になっていて、(16分1個分短くなった)

その分このF♯の音が16分音符1個分手前になっています。
つまり、本来3拍目に入るはずだった音符が、
16分1個分つんのめるシンコペーションになっています。
シンコペを終わらせるな!
そして更にシンコペーションは続く!
原曲通りであれば、前倒したF♯が付点8分の長さで続くはずですが、
このままではまあまあつまらないメロディになってしまいます。
※後ろに追加された音符がありますが、これは後で説明します!
つまらなくなる原因は、さっき折角シンコペしたのに、
付点8分の長さによって帳消しになってしまうから。
なので、このF♯も短くしちゃいましょう!
そうして短くし、すぐ後ろに短くした次の音符を配置したのがこちらになります。
歯切れを良くしています。
F♯で16分の裏に切り替わったリズムが、
次のEの音符でも継続する事のがよりユーロらしいですね!
このような、複雑でちょっと一筋縄で行かないようなリズムのメロディが、
ユーロビート特有の疾走感を実現していると思います。
前倒した分、音符を増やして埋める
ただし、先ほどのテクニックを使うとちょっと問題があります。
それが、音符が手前に来てしまうせいで間が空いてしまうこと。
ましてやEの音符に至っては付点8分から16分になっているから1/3です。
そのため今回は、空いた隙間を埋めるために音符を増やしています。

増やしたのがこの二つ、長さは8分音符です。(また若干削ってますが)
これによってよりメロディが忙しなくなってユーロらしくもなります!
音程の選定
ダジャレじゃないよ
音符を増やす時、迷ってしまう原因の一つが音の高さだと思います。
この解決法はシンプルで、「直前のを繰り返す」です。
短くした音符が直前にあるはずなので、そのイメージを維持できます。
場合によっては、ペンタトニックスケールの音や、コードの構成音に合わせるテクニックも考えられますが、
さっきと同じ音を言った来たりするのが無難でしょう。
候補になりそうな音を幾つか試しています。
が、やはり繰り返すのが違和感も少ないですね。
リズムの選定
もう一点がリズムです。
これはクラップなど音程のない音で対象の隙間に音符を置いていき、
前後の流れから自然に聴こえる物を選ぶのが確実かなと思います。
一切音符を追加していない状態で、クラップを重ねました。
現在、裏拍で4分音符1個分が空いていますね。

最終的にはこのようにシンプルに8分音符2つとしましたが、
このように手前の音を伸ばして、もう一回シンコペするのもアリでしょう。
コツは詰め込み過ぎたり、動きすぎてクドくなるのに注意です。
ユーロビートを沢山聴きこんで良いリズム感を探してみましょう!
まとめ
ということで今回は以上です。
お疲れ様でした!
ユーロビートは他ジャンルに比べて結構複雑かつ変化の多いメロディを使う印象があります。
その特性上、それっぽくするのがなかなかに難しいのではないかと思いますが、
今回のテクニックを参考に作っていきましょう!
次回は、2小節目以降を解説していきますよ!
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