皆さんごきげんよう。IWOLIです。
ボカロ曲で学ぶ音楽理論シリーズ
今回からはリズムに関して解説していきます。
リズムは楽曲の印象を操作する非常に重要な要素でありながら、
音の高さ(ピッチ・音高)ほど覚える事が多くないため、
理解や活用がしやすい要素だと思っています!
リズム編の第一回となる今回は、フォニイを題材に
最も基本的な4分音符と8分音符に関して学んでいきます。
それではいきましょう!
Contents
フォニイのサビリズム
ではいつものように、原曲の紹介としてフォニイを、
今回はリズムに注目してご確認ください。
今回はあらかじめサビ(1:01~)に合わせておきました。
一見複雑に思えるかもしれないサビのボーカルパートですが、
実はその中身はとってもシンプル。
なんとほぼ全ての音が二種類の長さの音符だけで構成されています。
詳しく見ていきましょう!
フォニイのメロディをリズムだけで考える
フォニイのサビのメロディを詳細に確認していきます。
こちらがサビを耳コピしたデモの冒頭です。
そしてこちらが打ち込んだMIDIデータです。
といってもこのままでは上下に動き回っていて分かりにくいです…。
ということで、音程の変化が一切ない形に変えてしまいましょう!
メロディと同じリズムでクラップ(手拍子)の音を重ねてみます。
同時に鳴らすとこんな感じです。
そしてこのMIDIデータを見ると?
音程が一定なので見やすいですね!
そしてそれぞれの長さを見てみてください!
この通り、長さで分けると
白くハイライトされた物と、そうでない物の、二種類に分けられます!
本当に二種類だけでこの部分を表せてしまいましたね。
これは少しややこしいですが、原曲でこの部分が「次の音まで伸ばさない」部分、
所謂「スタッカート」に近い状態だったためです。(実際のスタッカートはもっと短いですが)
歌詞で言う「あたしって」の「し」と、「なんだっけ」の「だ」です。
ここは次に「っ」があるのを表現するため伸ばしておらず、
僕も打ち込む際にそれを再現するため伸ばさなかった次第です。
クラップの場合は伸ばしても鳴る時間が変わらず「パンッ」で途切れるため、
音符を伸ばし、視覚的にわかりやすくしました。
リズムの超基本、4分音符と比べてみる
4分音符と8分音符
さて、ここで突然ですが、
このリズムに合わせて4分音符のリズムで手拍子してみてください。
「パン、パン、パン、パン、」という感じですね。
このリズムでバスドラム(キック)を鳴らしたデモがこちらです。
このリズムはほとんどどんな曲においても基本となります。
そしてこのリズムですと、メロディのリズムと一致する部分としない部分がありましたよね。
一致
不一致
この不一致部分のうち、前半側ではこの通り
倍のスピードで連打しているため、4分音符のリズムの間に音符が入ります。
この4分音符の倍のリズムが8分音符です。
なんで4分音符が基本なの?
4分音符とはその名の通り、4分割した音符という意味です。
逆にこの4分音符を4個繋げると、1小節という大きな単位になります。
曲全体やサビなどのパートの長さを大まかに数える際の最も大きな単位が小節で、
演奏時などのリズムを数える場合は、1小節を4分割し、
細かさと数えやすさのバランスに優れた4分音符で数えている。
というのが、4分音符を基準にする理由だと思っています。
こちらの楽譜動画をご覧ください。(楽譜が読めなくても問題ありません)
冒頭左端に「4/4」という表示があると思います。
分数の横線が五線譜に一致していますが…そういうもんなんです
これは「4分の4拍子」と読み、「1小節が4分音符4個分ですよ」ということを意味しています。
そして分子が変われば「〇拍子」の〇の部分が変わります。
例えばこちら(ボカロでなくて東方で恐縮ですが…知識不足ですみません)
こちらの曲は大部分が「3/4」で作られています。
つまり「1小節が4分音符3個」で出来ているということです。
「1小節を4個に割ったのが4分音符じゃねえのかよ」って話なんですが、
残念ながら受け入れるしかないです。なんかすみません。
4分音符なんて言い方しなきゃややこしく無かったんですけどね…
ただそれでも、1小節分の全音符や、その半分の2分音符よりも
4分音符ぐらいのリズムが数えやすいのは割と大抵の方にとってイメージしやすいのではないかと思います。
それくらい、リズムは解釈に過ぎない所が大きいです。(リズムだけでもないですが…)
言い換えれば、曲に合わせて基準にしやすい音符を自由に決めて良いとも言えます。
例えばかの有名なパイレーツオブカリビアンの「彼こそが海賊」の場合、
8分音符が主体になっているため、8分音符を基準とした「6/8」と表記されています。
別に「8/8」と解釈しても特に違いはなく、
「4分音符8つ分でワンループとする!」と言い張りたいなら
「8/4」でもある意味間違っては無いと思います。
厳密には「強拍・弱拍」の都合があるので普通は間違いですが
「3/4」とか「4/5」という事にはなりません。
かなり脱線してしまいましたね…悪い癖ですすみません。
ですが、この辺りは音楽をこれから学びたい方は結構理解に苦しまれているイメージがありましたので、
割とぶっちゃけてはいますが僕が見た実情をお話ししました。
とにかく今は、リズムはやりやすいように解釈すればいいという事と、
一般的に4分音符が最も自然なため基準にされやすいという事をご理解いただければと。
後半がずれる理由:シンコペーション
さてもう忘れかけてましたが先ほどのクラップとキックの比較に戻ります。
前半部分が基準の4分音符の倍である8分音符で刻まれていました。
一方の後半は?
後半で一致しない部分は、最初こそ8分音符ですが、
その後は倍の長さの4分音符になっています。
つまり、キックのリズムのちょうど真ん中にクラップが位置しています。
ゆっくりやると、「ドン、パン、ドン、パン、」と交互になりますね。
その部分だけを聴いてみましょう。
最初の二回は「ドン」と「パン」が同時でしたが、
2回目の「パン」は8分音符ですぐに次が鳴るため、
「パパン」というリズムになります。
その結果、クラップのリズムはキックの間に入る事になり、
「ドン、ドパドパドパドン、ドン、ドン、ドン、」というリズムになりました。
このキックのある部分の事を強拍(脅迫じゃないよ)、
無い部分を弱拍と言います。
そして、強拍の音が抜けて弱拍だけになっている部分を
シンコペーションと呼びます。
3拍目は中強拍というのが正しいようです。
でも強弱で言うより、多くの方にとっては「表・裏」と言われる方がイメージがつきやすいかもしれませんね。
あんまり重要ではないので詳しくは省きますが、参考までに。
シンコペーションしている部分に気を付けながら、もう一度聴いてみてください。
「ってなんだっけ」の部分ですよ!
リズムがつんのめるため、そのままでは単調だったリズムに変化がつきますね!
これまでの知識だけでフォニイのサビを解明する!
さて、これでリズムの基礎が分かったのでフォニイのサビを通しで聴いてみましょう!
楽譜の並びも見てみます。まずはメロディ。
上下に動いていて一見分かりにくいですが…一定の音程(クラップ)で見ると?
長くて見づらいですが、一部除き4分音符と8分音符になっています。
キックと比べてみるとこんな感じ。
※ホンマ見づらいのでズーム推奨です
どうでしょうか?さっき確認したように、
キックと一致するか、倍の8分音符か、間に入るシンコペーションになっていますね。
付点四分音符
二か所だけ例外があるので補足します。
この部分ですね。
さっきまでは、キックと同じか半分の長さ(倍の速さ)でしたが、
ここは逆に長くなっています。
その長さは4分音符の1.5倍です。
この1.5倍になった音符の事は「付点〇分音符」と呼びます。
今回は4分音符の1.5倍なので付点4分音符です。
例えば4分音符のみが「タア タア タア タア」というリズムだとすると、
ここのような付点4分と8分の場合、「タアア タ タアア タ」になります。
文字にするとややこしいですが…
8分音符1個分ズレるだけなのでそこまで難しくはないと思います。
4分音符と8分音符さえあれば神曲のメロが完成する事実
これでフォニイのサビに含まれるすべてのリズムが理解出来てしまいました。
一見凄く複雑そうだったメロディが、意外とシンプルだったのがお分かりいただけましたか?
おさらいすると4分音符と8分音符の2種類があれば、
- 基本となる4分音符のリズム
- 倍速で刻む8分音符のリズム
- リズムの強弱(表裏)を切り替えた捻りのあるリズム
が生み出せます。
そして、こんなわずかなテクニックだけでも、
フォニイのような複雑そうでかつキャッチーなリズムが作れてしまうのです!
まとめ
いかがでしたか?
今まで何気なく聴いていた旋律がとてもシンプルな形で解釈できるって不思議ですよね。
フォニイに限らず他の有名曲も、リズムの形にして調べてみると、
嘘みたいにシンプルなリズムの組み合わせで出来ている事があります。
そのおかげでオリ曲を作ってみたい時にも、簡単な形から考える事で意外と作れそうな気がしてきませんか?
余談ですが、かつて僕がオリジナルのメロディを作りたいと思った時は、もっと複雑なものだと勘違いして、全然作れなかったのを覚えています。
同じように挫折を経験した方は、試しに気になった曲のリズムだけでも調べてみてください。
もしかしたらあなたの作りたいメロディは、
自分が思っているより簡単に作れるのかもしれませんよ?
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