皆さんごきげんよう。IWOLIです。
今回は久しぶりにユーロビートについて解説します!
ユーロビートに関しては過去に、全体的な概要や他ジャンルとの違いについて解説しました。
今回はそこから更に踏み込みます!
この記事ではタイトルにある通り、既存曲をユーロビートにRemixしたものを題材に、
どのようにしてEUROらしいサウンドを確立したのかについて解説していきます。
「そもそもユーロってなんだっけ?」という方は、全体的な概要を解説した以下の記事をご覧ください!
Contents
Remixした原曲紹介・確認
Eurobeatの解説に入る前に、
まずは題材としたRemixする作品の原曲から紹介しますね。
今回編曲したのはこちら!
かいりきベアさんの代表曲の一つ、ダーリンダンスから、
こちらのイントロ部分8小節(0:04辺りから)をユーロ化しました!
理由は単純に好きだったり、他の方が既にユーロ化した作品も参考に出来たという点もあります。
ですが作っていて分かったのは、この曲のイントロは結構ユーロ化に向いているということです。
結果、割と自然にリミックスできたため今回の題材に使用させていただきました。
何故ユーロ化しやすいかという点も、ユーロビートの条件に関わってきますのでこれから解説していきますね!
Eurobeat Remixを聴いてみる!
さてお待たせしました!(待たせてたんでしょうか?)
実際に聴いてみましょう!
こちらが僕が作ったダーリンダンス Eurobeat Remixです!
如何でしょう…?割と様になったでしょうか?
下のグレーなトラック二つは鳴っていないトラックですので、
実際に鳴っているパートは12個となります。
更にドラム隊だけで5トラックあり、
12トラック目は冒頭の効果音(クラッシュシンバルに近い音)なので、
音程のある楽器は1~6の6つのみとなります。
聴いた印象と比べると、意外と少なく感じませんか?
もちろんここから音をどんどん追加する事でゴージャスなアレンジにしていったりもするわけですが、
今回はこのミニマルな編曲データを使い、
何故この音数でユーロっぽいのかを解説していきます。
僕が日々お世話になっているEurobeatクリエイターの
”Eurobeat Union”さんから販売されているサンプルパックには、
実際のユーロビート1コーラス分のパラデータも収録されているのですが、
こちらは1コーラスだけにも関わらず既に50トラックに及んでいました…
更にご本人曰く、
「すべてのオシレーター(『FM変調のモジュレーター』など鳴っていない音含む)も全部合算すると100とか200とかの音が鳴っている」
との事でした…
ゴージャスな楽曲には想像を絶する楽器たちを束ね制御する技術が欠かせないようです…
Eurobeat仙人恐るべし…!!!
上記のサンプルパックは以下をご参照ください!
最強です!これだけでユーロ作れます!!!
といってもこれでは話が終わってしまうので、
せめてある程度の音作りや打ち込み方については解説していきます(尻込み)
各トラックの音色
お次は先ほどのRemixの各パートをお見せします。
まずは何と言っても目立つシンセリフ!
シンセリフパート
過去の記事で、シンセリフは大体ブラスとベルに分けられると解説しました。
今回はその内、よく王道として採用されるシンセブラスでリフを組みました。
まあ分かりやすくユーロらしい音ですね!
この音色はサンプルに頼らず無料シンセVitalで自作したのですが、
この説明だけでもかなりの長さになりそうなので今回は割愛します。

お詫び(?)にシンセの設定画面でも。
打ち込み方はこんな感じです。

ここで先ほど言った「ダーリンダンスはユーロ化しやすい」
ことの理由の片鱗が見えます。
この曲のイントロはかいりきベアさんの十八番(と呼べるんでしょうか)な16分の刻みや付点8分音符のリズムが多用されています。
このリズムが、細かいリズムが似合うユーロビートの雰囲気にとても噛み合ったんです!
このリフではさらにユーロらしくすべく、幾つか捻りを加えているのですがそれはまた別の機会で~
シンセリードパート
2つ目のトラックは、ユーロ感という意味ではそこまで重要ではないかもしれませんが、
ブラスのロングトーンで顔を出すシンセリードです。
こちらがそのステムデータです。
暫く無音が続きますが、ブラスの切れ目に入ってくるキラキラした音がそれです。
音源はブラス同様Vitalです。

原曲では恐らく同じ音色のままですが、
複数の音色で別のメロディを奏でるというのがユーロビートのシンセリフでは結構あります。
分かりやすい(かもしれない)のがこちらのリフでしょうか。
基本はブラスで構成されていますが、
0:21辺りに「キラキラ~ン」というベルの音が入っています。
ただこれを採用していなくてもユーロらしさを出すことも可能なので必須という訳ではないです。
バッキング
お次はバッキングの楽器たちを見ていきましょう。
今回は3パート使いましたが、あまり複雑ではないと思います。
シンセパッド
まずはシンセパッドです。
ハリのあるストリングスのような音ですね。
今回は先ほどのサンプルパックからお借りしました。

あくまで高音域で空間を埋めるために鳴り続ける音であり、
アタック感も弱いため特に目立たないパートです。
目立たないけどこれによって物足りなさが補われるパート、というのが正しいでしょうか。
音色に制約はあまりなく、アタックが緩やかであることと、
音量が持続する事を満たせばシンセでもバイオリンでも問題ないでしょう。
両方使っても問題ないです。
アップビート
4トラック目にして、他ジャンルではあまり聞かない名前のパートが来ました。
アップビート、即ち「裏打ち」です。
今回はVitalで自作しました。

パッドほどではないですが、音量が小さいため
ブラスのリフがあると中々聴き分けづらいと思います。
ですがこれが意外と大事になってきます。
裏打ちというとハイハットを思い浮かべる方が多いかなと思いますが、
正にそういった裏で「ドッチードッチー」なんて鳴っている、その「ッチー」の部分は疾走感に大きく影響します。
ハイハットも鳴っては居るのですが、それを更に後押しするように
シンセのコード弾きで細かく8分や16分で裏打ちする事で、
ユーロビートらしい疾走感が更に加速します。
試しにシンセブラスをミュートにした状態で、
アップビートのON/OFFを聴き比べてみましょう。
結構小さい音なのに、寂しさが減り疾走感が増しますね!
ギター
上の動画で聴こえたかもですが、お次がギターです。
実は結構な頻度で入っているギターも、
ユーロビートにおいて必須という訳でもないです。
例えばBPM140以下辺りの、落ち着いていて綺麗なユーロビートなどではエレキギターは使われない事が多いでしょうか。
やはりアンプでガンガンに歪んだ音はパワフルなため、
それが入る事で落ち着いた雰囲気が壊れるケースもあるということですね。
一方で今回はBPM153でアッパーな雰囲気だったため、
それを後押しするべくエレキギターもハイゲインな感じで入れました。
音源はVirtual GuitaristのIRONを使ってそのままオートで弾かせています。手抜きです。

※プラグインの設定的にはクランチでした。右のDRIVEでだいぶ歪んでる気もしますが。
ベース
次はベースです。
土台となる部分なのでこちらは結構重要な要素です!
このベースもVitalでの自作です。

特徴はアタックが強く、短い音で裏打ちしていること。
更にこのベースはFM変調を用いて「ギョン」とか「ミョン」という感じの独特なニュアンスが付いています。
エレキベースや、Saw波とFilterを使ったシンプルなシンセベースでも成立するとは思いますが、
FMベースが特にユーロらしくなる気がしていて僕は大体このパターンを使います。
FMなので波形はSin波を使う事と、

ENVなどでFM変調のツマミがすぐに下がる様に設定しておくと、よりそれっぽい質感になるはずです!
ドラム・FX
最後にドラムとFX(効果音)を一気に見ていきましょう。
実の所ここの音色選びがかなり曲調に影響します!
ですが「どんな音が向いているか」の判断は、結構迷う所だと思います。
なので慣れないうちは全力で「ユーロビート用の音源」をバンバン使っちゃいましょう!
なんたってこの曲もARCADE COLLECTIONオンパレードですから!
一つずつ確認する事も可能ですが、サンプルまんま過ぎて二次配布と言われても言い返せないので、
今回は7~12トラックのドラム・FXをまとめたものをお聞きください。
特徴の一つはやはりキックでしょうか。
EDMで一般的に使われるような、シンセで作られた低音感とは違い、
かといってアコースティックドラムの自然な音でもない、
絶妙なふくらみがあるのが特徴だと思っています。
かつての生音が多かった、イタロディスコなどの名残でしょうか。
もう一つはスネアで特徴付けています。
音色も大切ですが、シンセリフでも言った通りユーロビートで大切な要素の一つが細かいリズムです。
なので普通なら偶数拍のみに入れる所を、
今回は16分裏にも配置する事で、一捻りあるリズムにしています。
このリズムを補強するように、カウベルやタンバリンで更に複雑なリズムを奏でさせたり、
リフのリズムに近いものを叩かせるのもアリですね。
今回はリズム隊が既に割と様になったので省きました。
残るシンバルやFXなどの部分については、
確かに大事な要素もありますが結構細かい所になってくるかな?と思います。
音色の細かい判別に迷う場合、ユーロビート用のサンプルを使っておいて、
- オープンハイハット:8分裏
- クローズハイハット:16分で刻む
- クラッシュシンバル:大体4小節ごとに1拍目に置く
- インパクト系のFX:フレーズ冒頭に置く
という打ち込み方を意識すれば問題ないでしょう。
「Eurobeat」と呼ばれる楽曲の中でもかなり違いがあるのも事実です。
なので身も蓋もない話ですが、
今回の説明とちょっと違う音色が混ざっていても、
ユーロビートらしくする、ユーロビートと認識させられる曲にすることは出来るでしょう。
というかそういうユーロもありました。
まとめ
今回の解説は以上となります。お疲れ様でした!
細かい音作りや打ち込み方までは触れていませんが、
様々な楽器たちが暴れ回るEurobeatの世界について、
少しでも理解を深めていただけたなら幸いです。
僕にはEurobeatはかなり手のかかるジャンルというイメージがあり、まだまだ修行中の身です。
満足のいく作品を完成させるのは骨が折れてもまだ不可能なくらい困難ですが、
更に研究を進め、得られた知見を共有できればなと思います!
それではまた次のユーロで!押忍!!!(ユーロ以外も見てくださいね!)
オヤカマッサン!
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