皆さんごきげんよう、IWOLIです。
初心セサイザーシリーズ第6弾の今回は、
FM変調を利用したベースサウンドを解説します!
前回のプラックで上級者向けテクとして紹介したものですが、
これをベースに活かすことでも、FMならではの良い音が作れますよ!
では行きましょう!
Contents
二つのOSCでFM変調する
OSCを2つ起動する
まずはともあれOSCの設定をしなければいけません。
FM変調とは「モジュレーター」という役割の音を使って、
もう一方の「キャリア」という役割の音を変える方式です。
そのためFM変調をする時は最低でも2つのOSCが必要になります。
またFM変調は倍音が増えていく加工法なので、
元の音は倍音が少ないSin波などを使うのが基本です。

OSC 1とOSC 2を有効化し、両方でSin波を選択します。
また、モジュレーターはあくまでキャリアの音を変えるためだけに使う音ですので、
モジュレーターが音を発する必要はありません。
今回はOSC 2をモジュレーターとして使うため、

このように、OSC 2のLEVELは0まで下げておきましょう。
鳴っている必要が無い、という感じです。
FM変調しちゃおう!
では楽しいFM変調の時間です!
操作はとても簡単、OSC 1の右の方にあるツマミのうち、
“PHASE”の下にある右側のツマミ“Wave Morph”を使います。

このままだとこのツマミは役割を持っていないので、
下のバーをクリックして“FM <- Osc 2”を選んでください。

キャリアをOSC 2などにすればOSC 1をモジュレーターに出来ます。
FMを選択すると…?
こんな感じでガッツリ音が変わりました!
元が低いSin波で聴こえにくかったのが、
派手だけどSaw波やSquare波とも違う深みのある音になりましたね。
前回のプラックでは高い音で使いましたが、
FM変調した音はこういった低音でもとても良い音を奏でます。
PHASEを固定する
さて既に良い音にはなっていますが、
FM変調する場合気を付けた方が良いのが“PHASE”です。
これは発音時に波形のどの位置から始めるかというもの。
VITALでは先ほど弄ったWave Morphの上にありますが、

初期状態ではこのように、“180”と“100%”となっています。
“180”は、波形1周期を360度として、180度から始めるという意味で、
“100%”は、その始める位置を100%ランダムにするという意味です。
つまりVITALは初期状態で、波形の開始位置はランダムになっています。
普段は大して問題になりませんが、FM変調ではちょっと厄介な問題があります。
それがこちらの動画、右上のスコープと音色の変化にご注目。
鳴らすたびに若干音色が変わり、右上の波形も毎回ズレているのが分かりますか?
これを敢えて使うなら良いと思いますが、基本的にベースは土台として、
しっかりと曲を支えてもらいたいため、このような変化は少ない方が望ましいです。
なのでベースを作る際などタイトな音が欲しい時は、
PHASEの右側は0%にするのが良いでしょう。
0%にすることで波形の変化が収まり、一定のタイトな音が鳴る様になりました!
ENVでモジュレーション!
更にこの音に変化を付けるために、
ENV 2でFM変調の度合いを変化させます。
やり方は簡単、FMのツマミを下にドラッグして減らした後、
ENV 2の十字からツマミへドラッグしてアサイン!
あとはENV 2を動かすことで色んな変化が楽しめます。
イイ感じの変化が付きました!
これで基本的なFMベースは完成です!
ですが、これまで使って来た色んなパラメータを変えることで、
FMは大きく音色を変えられるので、それを見てみましょう。
微調整で大きく変わる音
FMのツマミ
まず分かりやすい所は、ENV 2で動かしたFMのツマミの位置です。
シンプルにFMの度合いが変わるため派手に音が変わります。
またENVで動かしている量、アマウント量でも大きくかわります。
あまりアマウント量をマイナスにして、FM度合いが増える方向の変化にすることは多くない印象ですが、
どれも面白い音が生み出せますね。
PITCHを変える
FM変調で要となる事が多いのがモジュレーターのピッチです。
今回はOSC 2ですね。
OSC 1のピッチは変えてもただ音の高さが変わるだけですが、
OSC 1を変調する側であるOSC 2のピッチを変えると面白い変化が起きますよ!
どうでしょう?過激に変わるでしょう?
特にピッチを上げる変化は頻繁に用いられ、
後述するHard Bassというジャンルなどに使われる、
ドンクベースというベース音を作るにはほぼ必須と言えます。
値によっては甲高く耳障りになってしまうので、
ピッチ・変調量などを工夫して理想の音を探りましょう。
ENVの形を変える
またENV 2のADSRを動かすことでも印象が変わります。
DECAYを伸ばして余韻を残すことも出来るし、
ATTACKを増やせば「ブワン」と振りかぶるような音になりますね。
FILTERで削る
また、これまでの加工で出来た音をFILTERで濾し、
低域で落ち着いた音色にすることもできます。
動画の様にFILTERもENVで動かし、よりアタック部分だけが目立つような音にすることも出来ます。
UNISONでも面白い音になる
またちょっと変則的ですが、UNISONを変える事でもユニークな音に出来ます。
このようにキャリアやモジュレーターにピッチのズレた音が混ざるため、
不思議な揺らぎの有る音になります。
ただし当然土台としての安定感が失われるため、
別のタイトでしっかりしたベースを用意した上で、
変化を付けるためにこのUNISONしたベースを使うくらいがいいでしょう。
実用例
Saw波などを使った減算方式とは違ったニュアンスが生まれるFM変調ですが、
これは結構な頻度で重宝される音です。
ここでは僕が見つけた限りですが、恐らくFM変調されているだろうベースが使われた曲と、
それを耳コピしたものをいくつか紹介します。
1曲目:ウ”ィ”エ”
非常に分かりやすい例がこちら、ウ”ィ”エ”です。
この曲は割と典型的なHard Bassと言えるでしょう。
BPM150~160あたりの四つ打ちの上に、
今回作ったドンクベースを主体とした、疾走感のある踊れるジャンルですね。
そしてこのイントロ部分のベースラインを再現してみました。
まずOSCのピッチはどちらも初期値であまり派手にしていないこと、
そしてモジュレーションの幅を抑え、低く轟くような音にしています。
更にFILTERで結構削っているのも、低音重視を後押ししています。
また動画では出し忘れていましたが、このベースではENV 1もちょっと変えて、

このように、ATTACKを遅らせています。
聴いているといきなり「バンッ!」という感じのベースでは無かったため、
少し遅れて「グワァー」と持ち上がる音がいい感じにハマりました。
と言っても最初に「ウ”ィ”エ”!」と言った後に鳴る音は、
もっとアタックが強いベースがレイヤーされていそうですね。
2曲目:モエチャッカファイア
ウ”ィ”エ”を聴いてこれに気づいた人が居るかもしれませんが、
モエチャッカファイアにも似た音が使われていますね。
こちらも大部分のベースに用いられていそうですが、
ウ”ィ”エ”に比べ音数が多いのでイントロ・Aメロ以外は聴き分けづらいですね。
こちらもイントロを再現してみました。
今回はモジュレーター(OSC 2)のピッチを12半音(1オクターブ)上げています。
アタックもしっかりしているため結構強い音ですね。
また、この音ではちょっと低音が足りない気がしたため、
FMとは全く関係ないOSC 3で極低音を補わせています。
サブベースという、約20Hz~100Hz辺りを担当させるものですね。
別トラックに分けたりすることも多いですが、今回は何となく1セットにしました。
3曲目:オーバーライド
最後はオーバーライドです。
こちらはFMベースは曲全体では使われておらず、
1:08からの2番冒頭で使われています。
音数が減るパートでもあるのでこちらも割と分かりやすいですね。
こちらは完全再現とまでは行きませんでしたがこんな感じで再現できました。
モエチャッカファイア同様にOSC 2のピッチを上げたくらいですね。
こちらはどちらかというとこれまでのベースの様なテール部分(音の終わりの事)よりも、
アタックの瞬間の「ギョンッ」というニュアンスが特徴的ですが、
今回はちょっと再現しきれませんでしたね…修行不足です。
まとめ
今回の講座は以上です、
お疲れ様でした!
結構苦戦する事が多い印象があるのがFM変調ですが、
このようにFMした音はベースとしても汎用性が高くて優秀です。
今回は参考曲が出せませんでしたが、ユーロビートにも良く使われるとか何とか…
本格的に詰め出すと奥が深すぎるFMですが、
浅い所から始めてみてもFMの恩恵にあずかることは出来ますので、
皆さんも試してみてください!
それではオヤカマッサン~
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