初心セサイザー | Synth1で音作り編④ 無料ソフトシンセSynth1の使い方-OSCの使い方

皆さんごきげんよう。IWOLIです。

前回ではSynth1の基本的な機能のみを使って遂にイチからSuperSaw系の音色を作りましたね。

今回からはそこから発展させ、省いていた機能を解説しつつ、

それらを利用した更なる音作りを解説します。

今回はOSC部分についてご説明します。

Synth1には複数のOSCを混ぜ合わせる機能がありますので、

これを活かしてより複雑な音を作っていきましょう！

3つのOSC

各OSCから音を鳴らそう

まずはSynth1を立ち上げ、OSCがどのような構造か見てみましょう。

手癖でVitalも刺しちゃっていますが気にしないでください

左上の、波形が並んでいる部分を見ると、

このように、波形を選べる個所は3か所あるようです。

試しに切り替えてみましょう。

OSC1を切り替えると音色が変わりましたが、それ以外は何も変化していません。

これは今、「OSC1の音のみが鳴る」設定になっているためです。

この設定は以下の枠で囲った場所で調整できます。

“mix“が「OSC1とOSC2のバランス」、

“sub“のツマミが「OSC1とsubOSCのバランス」に対応しています。

試しに聴き比べてみましょう。

ちゃんと音が変わりましたね！

“mix“を左に振り切っているとOSC1のみ、

右に振り切っているとOSC2のみが鳴ります。

また”sub“が左だとOSC1、

右だとsubOSCのみになります。

OSC1で音色などを変える

次はOSC1に関する仕様をおさらいしつつ、まだ説明していなかった部分も解説していきます。

まずは一番上のここ、

もう説明不要かと思われますが、ここが音作りの原点となる波形選択ですね。基本となる波形が並んでいます。

次がその右側、”det”です。

ここも前回で解説しました。「デチューン」です。

同じ波形で若干チューニングのズレた音を鳴らすことで、音に幅を出します。

お次は今回初めて説明するパラメーター、”FM”です。

こちらの音色変化を動画で確かめてみましょう。

「ｷﾞｮｵｵｵﾜｱｱｱｱｱﾝ」という不思議な変化がしますね。

こちらは以下のVitalの解説で使用した「FM変調」が出来ます。

初心セサイザー | Vitalで音作り編⑤ 無料ソフトシンセVitalで作る「プラック」

Synth1では「OSC1の波形を、OSC2の波形で変調する」という一方通行になっています。

この記事にある通り、波形を倍音の少ないSin波と三角波に変えてみましょう。

「ギョワ～～～～ン」という良い音が鳴りますね！

OSC2で音色などを変える

今度はOSC2のみを鳴らして、どんな変化が起きるか聴いてみましょう。

“mix”つまみを右に全開にします。

OSC2特有の波形

まずOSC2の特徴と言えるのがOSC1にはない波形、「ノイズ」です。

これはその名の通り「ザァーッ！」という単純なノイズです。

特にホワイトノイズと言われる音ですね

こちらは音程が無いためメロディなどには使えませんが、

効果音、例えばクラッシュシンバル替わりの「インパクトノイズ」などに使われます。

OSC2のスイッチ類

続いてスイッチを見ていきましょう。

まずは簡単な”track“から。

これをオフにすると、どの鍵盤を押しても同じピッチで音が鳴ります。

作曲前提だと使い道がなさそうに思えますが、

効果音を作りたい時などには重宝します。

お次は”ring“、これは”Ring Modulation“（リングモジュレーション）という変調方法です。

こちらは特に、ピッチを変えた時に明確な変化が現れます。

FMとも違った不思議な音がしますね。

こちらも”track”同様、効果音作りに使われがちだと思います。

更に右には”sync“というスイッチもありますね。使ってみましょう。

これもまた独特な変化がします。

こちらは”sync”単体ではなく、“ring”と同時に点けて使うのが一般的だと思います。

「オシレーターシンク」と呼ばれる変調方式ですね。

OSC2のツマミ

最後に、散々弄ってはいますがOSC2のツマミも見ておきましょう。

ご覧の通り、ピッチが変わります。

“pitch“では1半音ずつ、”fine“では更に細かく調整ができます。

先ほどの変調や、敢えてOSC1と若干ズレたチューニングにすることで、

デチューン(“det”）だけではできないブレ感で深みを持たせる際などに使います。

subOSCの仕様を見てみる

お次は”sub”と書かれている”subOSC“の機能を見てみましょう。

と言ってもこちらはあまり仕様はないですね。

まず”mix”をOSC1寄りにした上で、”sub”のツマミを上げておきます。

このように、低い音が付加されました。

あとは下にある、”0oct“と”-1oct“くらいですね。

これは「オクターブ」の略です。即ち…

この通り、subOSCから鳴る音のオクターブを変えられます。

subOSCとはつまり、「低い音を付加する事に特化したOSC」ということですね。

m.envを動かす

お次は、”m.env“とかいう「何て読めばいいのか分からないがち」なセクションです。

ここは「モジュレーションエンベロープ」です。

エンベロープ、即ち発音時に一度だけ動作する音色変化のことですね。

Synth1ではエンベロープが初めから、

• Amplifier
• Filter

と設定されていました。

なのでそれら以外をエンベロープで制御したい時に使うのがこの区画です。

m.envを有効化する設定方法

まずはm.envのスイッチをオンにした上で”amt”（アマウント）を上下どちらかに動かしましょう。

※”amt”がゼロだとスイッチがオンでも変化は発生しません

更に間にある”A”と”D”のツマミ、

即ち”Attack”と”Decay”のどちらかを少し上げます。

こちらも両方がゼロの場合、「発音から0秒後に元に戻る」という状態になってしまうので、変化が発生しなくなります。

あとは下の”dest.”（”destination”、エンベロープの「行先」という意味だと思います）を切り替え、

それに応じて発音させるOSCを選びましょう。

osc2の場合

“amt”がプラスだと「ｷｭｩﾝ!」と音が高い所から下がってきて、

マイナスの場合は逆に「ｩｩﾜｧｱｱﾝ」と低い所から上がってくるのが分かりますか？

つまりこれは「ピッチモジュレーション」ということです。

Synth1ではピッチモジュレーションはOSC2のみに効果があるため、実用時は“mix”をOSC2にしておくことをお忘れなく。

FMの場合

こちらは先ほど紹介したFM変調の度合いをエンベロープで変化させられます。

FM変調にマイナスは無いため、“amt”はプラスにしておく必要があります。

またOSC1の項目で解説した時と同じく、m.envのFMはOSC1からの出力のみに効果があるため、

“mix”の値は今度はOSC1に寄せておきましょう

ややこしい

p/wの場合

とても微妙な変化なのですが、

“amt”が低い時に比べて「にょわ～～～～」という音色になっているのが分かりますか？

これは”Pulth Width“(パルスウィドゥス）という変調で、

矩形波の凸凹の配分を変化させる変調方式です。

Vitalで言う所のこんな感じですね。結局Vital使うのか

これに関してはSynth1の場合、OSCは1でも2でも問題なく使えます。

しかしSynth1においては、この変調は矩形波でしか作用しないため、

二つ前の動画冒頭のように矩形波以外が選ばれていると、

他のパラメーターを変えても何も変化しません。

更にややこしい

右側のセクション

最後にOscilator内の右下を見ていきましょう。

この部分ですね。何と呼ぶべきかは把握していないのですが…

ここはOSC全体に関わる設定箇所です。

key shift

まず一番上の”key shift”

こちらはOSC全体のピッチを上下させます。

先ほどまでの「OSC2だけ」や、「鳴らしながら変化させる」とかはなく、

一律で、かつずっとそのままのピッチで鳴ります。

普通にチューニングが狂っているような状態になるので、滅多に弄る事はないかな…と思います。

mix

“mix”は散々弄ってきてもういいと思うので割愛します。（ぉぃ）

p/w

先ほどm.envで動かしていた「アレ」、Pulth Widthです。

こちらはモジュレーションさせず、常に一定の音で鳴らします。

さっきお見せした物の、エンベロープ無し版ですね。

先に説明したらよかった…

注意点をあげるなら、ここで例えば左にほぼMAXだった場合、

m.envでも左向きにしても大きな変化が望めないことでしょうか。

Vitalでいう所の、最初からこんな感じで限界まで絞っている状態に近いためですね。

phase

こちらは少しややこしいのですが、

シンセは鳴らす波形だけでなく、

その波形のどこから鳴らし始めるかの位置も指定できます。

この波形の位置の事を”phase“、位相と言います。

といっても、これは単一の音を鳴らしても特に変化は起きません。

この通り

どういう時に変化するかというと、この逆、

複数の音が鳴っていたり、影響を与えている場合、

つまり、ユニゾン・デチューン・変調などをしている時です！

試してみましょう！

ユニゾンさせた場合

これはOSC1とOSC2で同じ波形を別々に鳴らした場合です。

“phase”を1以上にしていれば、特に変化はないのですが、

“phase”が0の時のみ、鳴らすたびにわずかに音色が変わっているのが分かるでしょうか？

とても微細な変化で分かりにくいのですが、

これは位相が異なる音同士が干渉する事によって発生する現象です。

“phase”が1以上であれば、鳴る音の位相が固定されて変化のないタイトな音に、

“phase”が0の時のみ（緑のランプが消えている時）、

位相がランダムになる事でこのような変化が起きる様です。（確証無いのに言う無鉄砲）

例えばパッドやオブリガートのような広がりのある音が欲しい時はこれをランダム、即ち“phase”は0、

ベースの様なタイトな音が欲しい時は“phase”を1以上にするのが良いでしょう。

デチューンした場合

“phase”を一桁辺りに変えると、アタック（鳴り始め）部分で

｢ﾋﾞﾖｫﾜｱｱｱﾝ」という独特な音色変化が起きましたね。

これも、”phase”が1に近いと、デチューンされた音が同じ位相から鳴り始めるため、

干渉によってこのような変化が起きます。

これも作りたい音のイメージに合わせて使い分けましょう。

変調させた場合

今回はFM変調で試しました。

ここでもやはり“phase”が0だと、鳴らすたびに音色が若干ずつ変わっているのが分かるでしょうか？

特に変調の場合はこの変化が大きすぎる事が多いと思いますので、

変調の場合は”phase”を1以上にしてランダムにしない方が好ましいと思います。

tune

最後は”tune”のツマミです。

これはかなり分かりやすいですね。

この通り、先ほどの”key shift”より細かくチューニングを変えられます。

上の赤いランプがついている時は±0、元のチューニングになっています。

とはいえここも、全体のピッチに作用するため”key shift”同様あまり使わないかなー…と思います。

まとめ

ということで今回はSynth1のOSCセクションについて解説しました。

お疲れ様でしたー！

幾つかややこしい部分やイメージしにくい機能もあったかと思いますが、

これでSynth1のOSCについてはほぼマスターと言っていいと思います！

Synth1はアナログモデリングシンセという事もあって現代的なデジタルシンセほど多機能ではないため、

今回学んだことから音を作っていくことでSynth1に限らぬシンセの基礎を定着させることが出来るでしょう。

（いきなり多機能だと出来る事が多過ぎて逆に難しくなってしまいますから…）

これらの機能を片っ端からバンバン使っていくのは難しい所もありますが、

FM・p/w・m.envなどは活用していくことで個性的な音色が作れるかと思いますので色々試してみてください。

それではまた！オヤカマッサン～