コード理論を学んだその先、作曲におけるコードの使い方!

皆さんごきげんよう、駆け出しボカロPのIWOLIです。

コード理論の解説は世の中結構ありふれています。
メジャー・マイナーがどんな音とか、トニック・ドミナントの役割とか。

またそれらを使って曲を作っていく工程の話なんかもまあありますよね。
「王道進行を使おう!」とか、「最近は丸サが流行り」とか。

でもこれらの情報を得ても、だからって万人が曲が作れるとは限らないと思うんですよ。

「で、どうやってコード進行を作れば良いの?」
「どういう理由でその進行を使ったの?」
「結局、理論って何のために学んだんだっけ」

ここが分からない事には、折角学んだ理論も無用の長物です。

今回からは音楽理論としてのコードの話と、作編曲におけるコードの話を融合し、
実際にコード理論を曲に活かすにはどうすれば良いか?を何度かに分けて解説していきます。

この記事で学べる事
・コード理論をどのように作曲に活かせるのか分かる!
・コード進行で曲の雰囲気や展開を自在にコントロールできるようになる!
・新たに学んだ理論をスムーズに応用できるようになる!

コード理論のおさらい

説明に入る前に、コードの基本について幾つかおさらいしていきましょう。

コードとは異なる音を幾つか足したもの

コードとは複数の異なる音が重なって作られた音、和音のことです。
例えば以下のようなものが一例ですね。

  • ド・ミ・ソ:Cメジャーコード
  • レ・ファ・ラ:Dマイナーコード

これらコードの名前は根元になる音「根音(ルート)」と、「重なる音の構成と距離」によって決まり、様々な響きを生みます。

コードの基礎についてはこちらの記事で解説しています。

コードには役割がある

また曲の中でコードはそれ自体の名前だけでなく、コードそれぞれが役割も持っています。
例えばCメジャーキーの曲中では、

  • Cメジャーコード:トニック
  • Dマイナーコード:サブドミナント
  • Gメジャーコード:ドミナント

と言う感じに役割があります。

少しややこしいのが、
この役割は先ほどの「メジャー・マイナー」などの名前とは関係なく決まる事です。

また上記の例はあくまでCメジャーキーでの話であり、キーが変われば役割も変わります。
この役割は曲のキーの中での度数で決まるからです。

この辺りの詳細は以下の記事で詳しく解説しています。

コードが幾つも連なってコード進行になる

そして、そんな様々な名前や役割のコード達が、複数連なる事でコード進行が構成されます。
コード進行は先述の役割で考えるため、名前ではなく度数で表記するのが一般的です。

  • 王道進行:Ⅳ  Ⅴ Ⅲm Ⅵm
  • 小室進行:Ⅵm Ⅳ Ⅴ  Ⅰ

基本的にローマ数字で書かれるのですが、中々見づらいですね…
これをCメジャーキーで表現すると、

  • 王道進行:F G Em Am
  • 小室進行:Am F G C

となります。

コードは役割ごとに、「ドミナントはトニックへ向かいたくなる」などの特徴があるため、
それに基づいて作られたコード進行は聴いていても親しみやすく心地よい展開をしています。

更に詳しいコード進行についてはこちらで解説しています。

コード進行はどうやって使えばいい?

では基礎をおさらいした所で、実践的なコードの使い方について解説していきます!

といっても今回の使い方はかなりシンプルです。

それは取り敢えず有名なコード進行を使ってみようというもの。

有名なコード進行を使ってみる

「そんなテキトーな…」と思うかもしれませんが、コード進行は使いまわしてなんぼです。

多くの方が「慣れないうちは仕方なく使いまわしになる」と思いがちでしょうが、
例え何曲も作ってきたベテランでも普通なコード進行は使います。

ということでここではあくまでも「有名なコード進行の中でどれを選ぶか?」と言う話をしていきます。

ここからはコードの度数表記をローマ数字ではなく一般的なアラビア数字で表記しますね。

コード進行の選び方

先程紹介した記事にもある通り、定番とされるコード進行は幾つもあります。
では沢山あるコード進行から何を基準にして、どのように選べばよいのでしょうか?

それはコード進行の持つ展開や、そこから来る流れ、ストーリーです。

コード進行が持つ印象は、構成するコードの順番や流れによって変わります。

ここでは例を挙げつつ、
種類・役割の順番が違うコード進行はどのように印象が変わるか見てみましょう。

例え構成するコードが同じでも、結構雰囲気が変わって面白いですよ!

コードの種類で生まれる違い

まずはコードの種類で差がある場合です。

以下のコード進行はどちらも構成自体は同じです。

  • 6m – 4 – 5 – 1
  • 4 – 5 – 6m – 1

一方で大きな違いとして、マイナーコードである6mが出てくる位置が違いますね。

これらがどのように違うか聴き比べてみましょう。

6m – 4 – 5 – 1

4 – 5 – 6m – 1

6m – 4 – 5 – 1 だと最初はマイナーで少し暗いですが、メジャーが続いて終わるため、
分かりやすい一件落着という感じがします。

一方で4 – 5 – 6m – 1では、順番に上がっていったあと一度マイナーを通るため少し暗いです。
またここでは最後の1が低いためちょっと唐突な感じがしますね。

試しに最後の1を高くするとこんな感じ。結構印象が変わります。

一度6mを経由して暗く鳴った後、一気に明るくするような感じです。

コードの役割で生まれる違い

さて、次は役割で差がある場合です。
つまり、トニックやドミナントなどの違いですね。

以前の記事で解説しましたがこの役割とは、マイナーやメジャーなどの種類とは別軸で存在し、
メジャーのトニックもあればマイナーのトニックもあります。

また同じメジャーでも、トニックのメジャーとドミナントのメジャーでは役割が違います。

以下のコード進行を見てください。

  • 6m – 4 – 5 – 1
  • 6m – 4 – 1 – 5

こちらは先ほどと同じコード構成な上、

更にコードの種類「マイナー」「メジャー」の出てくる順番まで同じです。

ですが役割の側面で見てみると…?
お気づきでしょうか、「トニック(T)」と「ドミナント(D)」の順番が変わっています。

  • 6m(T) – 4(SD) – 5(D) – 1(T)
  • 6m(T) – 4(SD) – 1(T) – 5(D)

この違いでコード進行の印象やストーリーにどんな差が出るか、聴いてみましょう。

6m – 4 – 5 – 1

これはさっきと同じですね。

6m – 4 – 1 – 5

一方でこちらは最後の二つが入れ替わっただけですが、印象の変化は如何でしょう。

さっきの6m – 4 – 5 – 1と比べて、次にまだ続きそうな感じがしませんか?

このように同じコード構成から出来ていても、順番によってその雰囲気は意外と変わります。

実際にはもっと色んなコードを使ってコード進行が作られるわけですから、それだけ様々な順番の進行により、色んな展開を表現できるわけです。

コード進行の比較

と言う事でここからは、もっと色んなコード進行を聴いて、その雰囲気の違いを感じてみましょう。

ただコード進行だけよりも分かりやすいように今回はこんなメロディを用意しました。

こちらに色んなコード進行を当てはめてみましょう。

コード進行によっては相性が悪いこともあるため、その場合はメロディをちょっとだけ変えています。

王道進行(4 – 5 – 3m – 6m)

まずは王道進行と呼ばれる、4 – 5 – 3m – 6m進行です。

早速ですがメロディがちょっと変わっています。

前半は明るい一方で、後半にマイナーが続くため暗い雰囲気で終えるタイプのコード進行です。

終わり方は少し悲し気ですが、これを敢えて明るいテーマの作品に使う事で、
「明るいだけじゃ語り切れない深み」のようなものが出せることもあり、
J-POPなどでは長らく高い頻度で使われてきた印象です。

一方で今のボカロではちょっと少な目かもしれません。

小室進行(6m – 4 – 5 – 1)

お次はさっきも何度も出てきていた6m – 4 – 5 – 1と言うコード進行、
小室進行と呼ばれることが多いです。

こちらは王道進行とは逆に、最初にマイナーがあり、後ろはメジャーコードで構成されているので、
最終的に明るい印象を残すコード進行です。

ですがこれも王道進行同様に、実際の印象とは裏腹なネガティブな作品に使う事で、
「ネガティブ過ぎて諦めモードになったら逆にはっちゃけた」様な世界観にも繋げられます。

4-5-6-1進行

今度はさっきも出てきた4 – 5 – 6m – 1進行と言う物を。

王道進行から「3m」が抜けて、最後に「1」が加わった構造ですね。
そのため亜種とも言えるかもしれません。

3つ目にマイナーが入るため一瞬ネガティブな雰囲気に振った後、
一気に明るい「1」に戻す進行ですね。

また各コードの音域も近いので滑らかな進行とも言えます。

このコード進行の呼び名

この進行は王道進行ほど有名な名前はありませんが、
これに近い物を東方projectの作者ZUNさんが多用する事から、
僕なんかはいつも「ZUN進行」またはその派生と呼んでいます。

実際のZUN進行はこのような、最後の「1」が抜けた物を指すことが多いですね。

一方でZUN進行と呼ばれるものにも色んなパターンが有ったりします。

最もオーソドックスな動画で示した「4 – 5 – 6m」と言う進行なら、
終わりが長いマイナーになるため、やはりマイナーらしさを強調した曲に合います。

ですがもちろん、ポジティブさや可愛さを強調したい時にも使えますよ!

カノン進行(1 – 5 – 6m – 3m – 4 – 1 – 2m – 5)

今度はループが2倍になります。
また進行に合わせて結構メロディを変えています。

パッヘルベルのカノンで有名なカノン進行は、
「1 – 5 – 6m – 3m – 4 – 1 – 2m – 5」というコード進行になっています。

使ったこと無さ過ぎてこれで良いのか不安しかないけど

あまりこんな高速で切り替える進行ではない気がしますが、
トニック、サブドミナント、ドミナントが4-5-6-1以上に滑らかに繋がっていて
とても親しみやすい進行です。

ポップなジャンルではAメロなどで主題を出すのに良いかもしれませんね。

逆に言うとダイナミックさには欠けるので、このままだとサビには不向きかもしれません。

丸サ(未満)進行(4 – 3m – 6m – 1)

最後に紹介するのは僕が勝手に「丸サ未満」と呼んでいる進行の1つ、「4 – 3m – 6m – 1」。

「未満ってなんやねん」と思うと思いますが、これは本来の丸サとは構造が違うために付けたあだ名です。

王道進行とも少し似ていますが特徴として、ドミナントの5には行かずに(飛ばして)、
ドミナントとトニック両方の性質を持つマイナー「3m」を経由していること。

マイナーが続くため王道進行や「4 – 5 – 6m」より更にちょっと暗めです。

ですがその暗く沈む雰囲気が現代の情勢やトレンドにマッチするためか、
現状、ボカロやネット音楽では度々登場する引っ張りだこな進行の1つです。

より丸サな進行

ちなみに未満ではない「本当の丸サ進行」の最大の特徴は、
二つ目の「3m」が「メジャーコード」になっている事です。

厳密にはセブンスコード「Ⅲ7(3度のドミナントセブンス)」を使用します。

スケールが分かってきた方なら「それって使って良いコードなの?」と思うかもしれません。

このコードは確かに本来のスケールからは外れた音を含んだものです。

ですが音楽ではそういった本来のルールから逸れた音を敢えて使うということも良くあり、
そういったコードの事を「ノンダイアトニックコード」と呼びます。

詳しくは省きますが丸サ進行にするとこんな感じになります。

ⅣM7 – Ⅲ7 – Ⅵm7 – Ⅰ7

全部がセブンスになって響きも大きく変わっていますが、
特に2つ目と4つ目がノンダイアトニックコードになっているので、
これまでとは一線を画す雰囲気を醸し出しています。

とても良い雰囲気が出るので、実際に使われる時は
このノンダイアトニックコードを使うケースの方が多い気がします。

ちなみに余談ですが、コードの中にはセブンスなど数字が付く物も多いので、
そうなってくるとやはりローマ数字での表記は不可避になってきますね…
なのでローマ数字の表記にもちょっとずつ慣れていきましょう!

コード進行の選び方

幾つかのコード進行を比較し、それぞれに特色がある事は理解できましたか?

では最後に、実際に作曲する時にこれらをどう選ぶかというお話をしましょう。

と言ってもやる事はとても単純で、これら知っている進行の中から、
「一番欲しい効果や雰囲気を持つコード進行を選ぶ」という事に尽きます。

そのために必要なのはやはり、それぞれのコード進行が持つ印象の差を自分で理解する事。

  • 王道進行はちょっと切ない感じがする
  • 小室進行は結構明るい

その感じ方は聴き手によって、必ずしも僕の説明とは一致しないでしょう。

それこそが大事なポイントです!

自分だけが持つそのコード進行へのイメージを活かして、
自分がしたい表現に一番噛み合う物を選ぶことで他の人には出せない雰囲気が出てきます。

とはいっても最初は、そもそも知っているコード進行がかなり少ないですよね…

そういう時こそ、調べましょう!勉強してください!

現代のネットには山ほど資料が転がっています。

僕が良く確認にお世話になっているサイトを1つ紹介させていただきます。

こちらでは大量のコード進行が列挙されているだけでなく、
その進行のサウンド感や実際の使用例を聴く事まで出来ちゃいます!

コード進行の活用において大事な勉強方法の一つに、
「実際の楽曲でどう使われ、どんな雰囲気になるかを知る」と言う物があるのですが、
それすらもこのサイトで確認できちゃうという訳です!

シンセでそのまま聴くとチープが気がしていても、実際に編曲されて楽曲を彩っていると、
一気に華やかに世界が広がるというもの。

まずはこのサイトで色んなコード進行を知っていきましょう。

そしてある程度レパートリーが増えてきたら、お気に入りの曲をコードに着目して聴いてみます。

きっと、コード進行によるストーリーの表現が如何に曲の魅力に貢献しているかが分かるようになっているはずですよ!

まとめ

と言う事で今回は理論の応用と言う事で、コード進行の実践、使い方について解説してきました。

お疲れ様でした!

作曲の話って、コードそのものの構造解説や、実際にコード進行を定めて作曲していく手順の解説はあっても、
「作曲者の意思でどのようにコード進行を選定するか?」って話、考え方って少ないですよね。

今回の記事で、自分なりにコード進行が選べるようになったら幸いです!

また、この記事でコード進行が決められてもそれで終わりではありません!

お次はそのコード進行を、目的に応じて変えていく方法を解説予定ですのでお楽しみに~

それでは、オヤカマッサン!